トトロの森レトロ看板ミュージアムを訪ねて。米原駅から歩く、やさしい時間 ( 滋賀県米原市の旅 : 2025-09-14 )

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トトロの森レトロ看板ミュージアム（滋賀県米原市）

トトロの森レトロ看板ミュージアム（滋賀県米原市）

夏の名残の滋賀旅へ

2025年9月14日。
暦の上では秋とはいえ、まだまだ厳しい暑さが残る一日でした。少しでも涼しさを感じたくて、この日は滋賀県へ小さな旅に出ることに。名古屋駅から特急しらさぎに乗り、目的地は米原駅です。

米原駅といえば、新幹線や在来線の乗り換えで何度も利用してきた駅。けれど不思議なことに、これまで改札の外に出た記憶がありません。今回は「途中下車」という、私にとってはちょっとした冒険。おそらく人生で初めて、米原駅の外の景色をじっくり歩くことになりました。

駅東口で出会った新しい米原

改札を出て、東側へ。
すると目の前に現れたのは、想像以上に立派で洗練された建物でした。

「TETTE MAIBARA（テッテマイバラ）」

駅に直結するこの施設は、米原市役所をはじめ、観光案内所、物販コーナー、カフェ、コワーキングスペース、自習スペースまで備えた複合施設。ガラス張りの明るい空間には、人が自然と集まる工夫が詰まっていて、公共施設とは思えないほど開放的な雰囲気でした。

正直なところ、米原駅東側の印象は「中山道が通っていて、すぐ山が迫っている」というイメージしかありませんでした。駅西側はまだしも、東側もここまで整備され、生活と観光の拠点として機能していることに驚かされました。

この日は、後ほど利用する近江鉄道の米原駅も確認し、駅前のサイクルステーションやカフェを眺めながら、しばし駅周辺を探索。暑さの中でも、駅前には人の気配と落ち着いた活気があり、思いのほか居心地のよい空間でした。

そして、いよいよ今回の目的地へ向かいます。

中山道を北へ、トトロの森へ

「トトロの森レトロ看板ミュージアム」へは、米原駅前を南北に走る中山道を北へ、徒歩でおよそ20分ほど。滋賀県立米原高等学校へ向かう途中にあります。

この中山道、山あいを抜ける道ということもあり、思った以上に車のスピードが速い区間も。歩道がしっかり確保されていないところでは、少し緊張しながら歩く場面もありました。ただ、その分、眼下に広がるJRの線路や、緑に包まれた景色を眺めながら進む道のりは、旅情を感じさせてくれます。

住宅地に近づくにつれて、周囲はぐっと静かに。やがて視界に現れる、どこか見覚えのあるような看板やオブジェ。「あ、ここだ」と気づいた瞬間、自然と足が止まりました。

ほっこりとした時間

そこは、観光地特有のざわざわした空気とは無縁の世界。

住宅街の一角に、地元の方々が少しずつ作り上げてきた世界観が、静かに広がっていました。

レトロな看板を眺め、猫バス風のバス停に近づいてみる。炎天下ではありましたが、不思議と心は穏やかで、暑さも和らいだように感じます。

「もしここで待っていたら、猫バスが来てくれて、どこか夢の世界へ連れて行ってくれないかな」

そんな他愛もない想像が、自然と浮かぶ場所でした。大人になってから、こうした空想を素直に楽しめる時間は案外貴重です。

しばらくベンチ周辺を歩き、看板一つひとつを写真に収めながら、静かな時間を堪能。気づけば時計も進んでいました。

「トトロの森レトロ看板ミュージアム」とは（補足説明）

「トトロの森レトロ看板ミュージアム」は、滋賀県米原市の住宅街にひっそりと存在する、手づくり感あふれる小さなミュージアムです。大きな建物や入館料が必要な施設ではなく、地元の方々の遊び心と善意によって形づくられた、屋外型の展示空間といった趣があります。

名前のとおり、映画『となりのトトロ』の世界観を連想させる装飾や看板が点在しており、昭和レトロなブリキ看板、手描きの案内表示、どこか懐かしさを感じる色使いが印象的です。特に目を引くのが、猫バスを思わせるバス停風のオブジェ。実際にバスが来るわけではありませんが、ここに立っているだけで、物語の世界に迷い込んだような気分になります。