ミシガンクルーズの旅(前編)――成瀬が教えてくれた、琵琶湖への行き方 ( 滋賀県大津市の旅 : 2025-11-01 )

 

大津港・ミシガンクルーズ(滋賀県大津市)

今回の旅を企画した最大の理由は、一冊の小説でした。宮島未奈さんの『成瀬は天下を取りに行く』。その中に登場するエピソード「レッツゴーミシガン」を読んだとき、琵琶湖と大津、そしてミシガンクルーズが、急に現実の風景として立ち上がってきたのです。物語の中で成瀬あかりが、少し風変わりで、けれどどこまでも真っ直ぐに決めて動く姿。その勢いと透明感に背中を押されるようにして、「これは実際に行ってみたい」と思いました。

成瀬や広島から来た西浦くんたちが見ていたであろう湖の色、港の空気、人の流れを、自分の足で確かめてみたい。そんな思いが、この旅の出発点でした。

以下はちょっと小説風の語りで、話を進めたいと思います。

名古屋から、あまりにも近い大津

当日は名古屋から新幹線で京都駅へ。
そこからJR琵琶湖線に乗り換え、大津駅を目指す。

京都駅から大津駅までは、山科駅を挟んでたった二駅。
移動時間にしてほんの9分だ。
県庁所在地同士が、これほど近い距離にあるとは、正直なところ今回訪れて初めて実感した。

京都駅のホームは、相変わらず外国人観光客でごった返している。
スーツケースの転がる音、さまざまな言語が入り混じるざわめき。
いつもの京都の光景だ。

ところが、大津駅に降り立つと空気が一変する。


利用客のほぼ日本人で、駅全体に落ち着いた雰囲気が漂っている。
観光地でありながら、生活の匂いがちゃんと残っている駅。
そのコントラストが、なんとも心地よかった。

滋賀に来た実感と、少しの反省

大津駅には、平和堂が隣接している。


彦根駅前で見かけて以来、久しぶりの再会だ。
滋賀といえば平和堂。
それだけで「滋賀に来たな」と実感でき、思わずテンションが上がる。あとは西川貴教さんか。

駅前から琵琶湖方面へは、「中央大通り」が北へまっすぐ延びている。
この道に沿って進めば、大津港だ。

距離はおよそ600メートル。
ゆるやかな下り坂で歩きやすいが、4車線あるため信号が多く、徒歩だと何度も足止めされる。
さらに、道沿いに飲食店がほとんどなく、やや無機質な印象も受けた。

あとから知ったが、一本西側には地元の商店街があるらしい。
そちらを通れば、もう少し街の表情を感じながら歩けたかもしれない。
これは素直に反省点だ。

しばらく進むと、左手前方に大きな緑色の建物が見えてくる。


琵琶湖ホテルだ。

その姿が目に入った瞬間、視界が一気に開けた。

琵琶湖の静けさに、心がほどける

目の前に広がる琵琶湖。


湖と空の青が溶け合い、湖越しには大津の街並みがパノラマのように広がっている。
さらにその奥には、比叡や比良の山々。

海とは違い、塩の香りはない。
波音もほとんど聞こえず、ただ静かに水面が広がっている。
この静けさが、なんとも心地いい。

京都にこれほど近い場所に、こんなにも穏やかな景色がある。
「ここに住む、という選択肢も本気でありかもしれない」
そんな考えが、自然と浮かんできた。

なぎさ公園を歩く

大津港周辺には、「大津湖岸なぎさ公園」が広がっている。
琵琶湖沿いに約4.8キロ続く、細長い湖畔公園だ。

散歩をする人、ジョギングを楽しむ人、ベンチに腰掛けて湖を眺める人。
それぞれが、自分なりの距離感で琵琶湖と向き合っている。

春から初夏にかけては、ここから少し離れた浜大津やにおの浜周辺で、シバザクラが湖畔を彩る「なぎさのプロムナード」も見頃を迎えるそうだ。
約5万株もの芝桜が咲き誇る光景は、さぞかし見事だろう。
それは、また別の季節の楽しみに取っておきたい。

今回は湖畔を西へ進み、大津港を目指す。


途中、いくつかの船が停泊しており、その中でもひときわ目を引いたのが、外観の派手な観光船「ビアンカ」だった。
今回乗るミシガンではないが、その豪華さには思わず足を止めて見入ってしまう。

大津港という場所

やがて大津港に到着する。
琵琶湖南端に位置するこの港は、現在、琵琶湖観光の玄関口として親しまれている。

京阪電車「びわ湖浜大津駅」からも近く、観光や散策の拠点として便利な立地だ。
かつては、近江と京を結ぶ水運の中心地として、多くの船が行き交っていた。
米や木材、生活物資を積んだ船が、この港を支点に大津の町を発展させてきた。

その役割は時代とともに変わり、今では湖上交通の歴史を背景にした観光港として、多くの人を迎えている。

ミシガン90、出航前

乗船券売り場で、11時発の「ミシガン90」のチケットを購入した。


90分間、琵琶湖南部を周遊するコースだ。

船内レストラン付きプランは事前予約制だが、今回は乗船のみを選択。
船内で軽食や飲み物が購入できるというのも、気軽でありがたい。

出航までの時間、待合室や売店をのぞきながら過ごす。


少し歩けば、琵琶湖ホテルに隣接する浜大津アーカスもあり、時間を持て余すことはない。

やがて湖の向こうから、白い船体がゆっくりと近づいてきた。


ミシガンの到着だ。

その頃になると、大津港には大型バスが次々と到着し、団体観光客が一気に増え始める。
桟橋デッキは人で埋まり、港は一気に賑やかな空気に包まれた。

これほど本格的なクルーズに乗るのは、人生で初めて。
文学がきっかけで、現実の旅へとつながった今回の体験。
出航前から、気分はすでに最高潮だった。

この先、物語と現実が重なり合う湖上の時間が始まる。
ミシガンクルーズの様子は、次の記事にて。お楽しみに。

(おまけ)

ちなみに、宮島未奈さんの成瀬シリーズは3巻すべて読破。「それいけ!平安部」も楽しく読み終え、これから、「婚活マエストロ」も読み進めるところです。宮島未奈さんの作品は、日頃読書の習慣がない方でも非常に読みやすいのでぜひ一度手に取ってもらえると、私も嬉しいです。

レッツゴーミシガン!

地図

〒520-0047 滋賀県大津市浜大津5丁目1−1

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