世界の川を旅する水族館 〜アクア・トト ぎふ探訪記(後編) ( 岐阜県各務原市の旅 : 2025-05-11 )

 

世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ(岐阜県各務原市)

これまで長良川源流から中流、そして河口までを体感してきたアクア・トト ぎふ。


ここからはいよいよ舞台を世界に広げ、地球各地の大河に息づく淡水生物たちの世界へと旅が続きます。

自然といのちの息吹にふれる旅 ~アクア・トト ぎふ探訪記(前編) ( 岐阜県各務原市の旅 : 2025-05-11 )

2階:メコン川淡水環境研究所とアジアの魚たち

まず足を踏み入れたのは、2階の「メコン川淡水環境研究所」。


館内には、研究者たちが環境調査を行いながら日本と東南アジアの淡水魚を比較研究しているという設定で展示が構成されています。いわば、子どもたちにもわかりやすい「体験型研究室」のような空間です。

北日本や西日本に生息する魚、中国の川に棲む種など、アジアの広域な淡水環境が並列的に紹介されており、同じ淡水という環境でもその多様性に驚かされます。
これまで「日本の川の魚=見慣れた地味な生き物」という先入観を抱いていましたが、じっくり見れば見るほど、それぞれに特徴があり、生き抜くための知恵や姿形の面白さに惹き込まれていきました。

 

メコン川ゾーン:巨大ナマズとの出会い

次に訪れたのは、東南アジアを代表する大河・メコン川。
その源はチベット高原、流れは南へ、中国、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムと6か国を通り南シナ海へ注いでいます。

この川には、なんと1,300種以上もの魚類が生息しているとされており、その豊かさは世界有数。
そして、このゾーンの主役は、言わずと知れた「メコンオオナマズ」。世界最大級の淡水魚として知られ、成長すれば全長3メートル、体重はなんと350kgにもなると言われています。

その巨体が大きな水槽内をゆっくりと泳ぐ様子はまさに圧巻。
悠然とした動きと大らかな表情に、なぜか威厳すら感じました。


この魚、実は現在絶滅危惧種に指定されており、その生態の多くがまだ謎に包まれています。人間の手で守っていかなければならない命なのだと、しみじみ考えさせられました。

他にも、エイの仲間「プラークラベーン」など、日常生活ではまずお目にかかれないような生物たちが勢ぞろい。
メコン川ゾーンは、生き物たちの迫力と神秘さに満ちたエリアでした。

 

アフリカの河川:コンゴ川とタンガニーカ湖

メコン川を後にし、次に向かったのはアフリカ大陸。


まず紹介されるのは、コンゴ川。全長4,667km、流域面積は実に370万km²という、世界有数のスケールを誇る河川です。

この地域に生息する魚たちは、きらびやかで、どこか宝石のような輝きを放っていました。
熱帯の生態系ならではの強烈な個性が感じられ、それぞれが生き残るための戦略を具現化したかのような形態や色彩に、ただただ見惚れるばかり。

次は、東アフリカの「タンガニーカ湖」へ。
地殻変動によって生まれた大地溝帯にできたこの湖は、長さ650km、深さは最大1,471m。岐阜県の約3倍の面積があるというのだから驚きです。

ここで印象的だったのは「デンキナマズ」。


テレビでは見たことがあっても、実物を目の前にしたのは今回が初めて。
頭部がマイナス極、尾部がプラス極というユニークな構造で、最大500Vの電圧を30秒以上も出し続けられるという、まさに“生体発電装置”です。
もし人間の体にこの能力があったなら、充電ケーブルも電力網も不要なのに…なんて、つい空想してしまうほどのポテンシャルでした。

 

1階:アマゾン川、そして“そっくり”な生き物たち

館内最後の展示は、南米の大河・アマゾン川。
アンデス山脈に端を発し、熱帯雨林を横断して大西洋へと流れるこの川は、流量で世界の20%を占めるという、とてつもないスケールを誇ります。

ここで最も存在感を放っていたのが「ピラルクー」。


最大4mにもなるこの魚は、“生きた化石”とも呼ばれ、1億年以上前の姿を今もとどめているといいます。
実際に見ると2mほどの個体が悠々と泳いでおり、光を受けて輝く鱗の美しさと巨大な体躯には、まるで神々しさすら感じました。

また、昔からその名を聞き続けてきた「ピラニア」も登場。


子供のころに観たホラー映画でピラニアに食べられるシーンが忘れられず、実物のあの鋭い顔を見た瞬間、ちょっとゾクッとしました。

アマゾンの魚たちは、見た目や動きが多種多様。進化のバリエーションに驚くばかりです。

展示のラストは「そっくりないきもの」コーナー。


岩のようにしか見えないオニダルマオコゼ、木に擬態するマダガスカルヘラオヤモリなど、自然界の“かくれんぼの達人”たちが並びます。どこにいるかわからず、しばらく水槽とにらめっこする時間がまた楽しい。

そして癒しの存在「カピバラ」たちがのんびりとくつろぐ姿にも、心が和みました。

最後に立ち寄ったのは、えさやり体験コーナー。
300円で購入した餌を水槽に投げ入れると、大きな魚たちが一斉に口を開けて集まってくる様子は、迫力満点!あまりの勢いにちょっと後ずさりしてしまうほどでした。

 

淡水魚水族館の魅力、再発見

見学の最後は、ショップでお土産を眺め、レストランの賑わいを横目に出口へ。


前日に訪れた京都水族館では、イルカやペンギン、クラゲといった“映える”人気者たちの演出に感動しましたが、アクア・トト ぎふの魅力は全く別のベクトルにありました。

静かだけれど深い。
派手さはないけれど、自然の尊さや生き物の奥深さをじんわりと体に染み込ませてくれる展示の数々。
「川」や「淡水魚」にこんなにも豊かな世界が広がっていたなんて、今回の訪問がなければ気づけなかったと思います。

アクセスの不便さは正直否めませんが、それでもまた行きたいと思わせてくれる、そんな唯一無二の水族館でした。
次に訪れるときは、ぜひ年間パスポートも検討してみたいところです。

アクア・トト ぎふ、心からおすすめです。

 

地図・アクセス

〒501-6021 岐阜県各務原市川島笠田町1453 河川環境楽園内

アクア・トト ぎふ公式サイト:https://aquatotto.com/

 

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