乙川を彩る「葵桜」と、変貌する東岡崎駅 (愛知県岡崎市の旅 : 2026-02-28)

 

乙川「葵桜」(愛知県岡崎市)

2026年2月28日。暦の上では春が顔をのぞかせる頃、愛知県岡崎市の東岡崎駅に降り立ちました。

目的は、乙川(おとがわ)沿いを鮮やかに染める「葵桜(あおいざくら)」。 最後に見に来たのは2019年だったので、実に7年ぶり、3度目の訪問です。時の流れの速さに驚きつつも、変わらぬ花の美しさと、刻一刻と変わりゆく街の景色を記録に残したいと思います。

岡崎市散歩(乙川沿い:河津桜・葵桜)


変貌を遂げる「東岡崎駅」:2030年へのプロローグ

旅のスタート地点である東岡崎駅に到着して、まず目を剥きました。 「あれ、私の知っている駅じゃない……!」

前回訪れた2019年は、ちょうどペデストリアンデッキが完成し、東口側の整備が目立っていた時期でした。徳川家康公の銅像が建ち、近代的な雰囲気が漂い始めたのを覚えています。しかし、2026年現在の主役は北口側の大規模工事です。

かつて岡崎城方面へ向かう際に当たり前のように利用していた北口改札、そしてお土産屋さんが並び、多くのバスが行き交っていたターミナルエリア。それらが建物ごと綺麗に姿を消し、広大な更地へと姿を変えていました。

駅ビルそのものが解体され、現在は新しい駅舎と駅ビル建設のための基礎が築かれている真っ最中。2030年の完全完成を目指しているとのことで、今はまさに「脱皮」の途中といった趣です。 不便さは多少あるものの、重機が動き回るダイナミックな光景は、これから始まる新しい物語への期待感を感じさせてくれます。4年後の完成した姿を想像しながら、仮設の通路を抜けて乙川方面へと歩き出しました。


オト リバーサイドテラスから乙川の調べを聴く

駅から北へすぐ、乙川のほとりに佇むショッピングモール「オト リバーサイドテラス(OTO RIVERSIDE TERRACE)」に立ち寄りました。

ここは2019年にオープンした施設ですが、今や完全に街の風景に溶け込み、洗練されたリバーフロントの空気を作っています。テラスからはゆったりと流れる乙川が一望でき、対岸の緑とのコントラストが実に心地よい。

ここで少しだけ川の流れを眺めながら、これからの散策に向けて気分を整えます。水面をなでる風は力強く、川波がキラキラと光を反射して、春の訪れを視覚で伝えてくれました。


隠れた興奮スポット:名鉄バス 岡崎営業所

リバーサイドテラスを後にし、葵桜が待つ竜美丘会館方面へ東へ向かって歩を進めます。 その道中、個人的に「おおっ!」とテンションが上がったのが、名鉄バス 岡崎営業所の前を通過したときでした。

営業所の敷地沿いには、役目を終えたのか、あるいは出番を待っているのか、あらゆる系統のバス停留所の看板がずらりと並んでいるエリアがあるのです。

普段は街のあちこちに点在している「あの看板」が、一堂に会している光景は圧巻。バスファンでなくとも、その機能美と情報の集積具合には、少しばかりの「高まり」を隠せませんでした。一つ一つの停留所名に、岡崎の暮らしの息遣いを感じるようです。


25年の歴史が紡ぐピンクのトンネル「葵桜」

駅から歩くこと約10分。視界の先が徐々に淡いピンク色に染まってきました。 いよいよ、今回の目的地である「葵桜」との再会です。

葵桜とは?

ここで少し、葵桜についておさらいしておきましょう。

  • 河津桜系の早咲き桜。ソメイヨシノよりも花びらが大きく、色が濃いのが特徴です。

  • 岡崎市民に親しまれるよう「葵桜」と名付けられました。

  • 2001年に市民グループの手によって植樹されたのが始まり。

  • 乙川沿い約600mにわたり、現在は86本が並びます。

ソメイヨシノよりも一足早く、2月下旬から3月上旬にかけて見頃を迎えるため、地元では「岡崎に春を告げる使者」として愛されています。私も2019年にその魅力に取り憑かれた一人ですが、7年ぶりに見るその姿は、さらに枝振りが立派になり、貫録を増したように感じました。


2026年2月28日の開花状況:八分咲きの競演

さて、気になる今年の開花状況ですが、本日2月28日時点では全体として「8分咲き」といったところでした。

河津桜特有の、あの鮮やかで濃厚なピンク色が堤防沿いに美しく咲き誇る姿は、やはり圧倒的です。 細かく観察してみると、

  • 道路側: かなり開花が進んでおり、ほぼ見頃。

  • 川側(北側): まだまだ蕾の箇所も多く、来週あたりが本当の満開を迎えそう。

といった印象です。 「あと一息でパーフェクト」という今の状態は、むしろこれから咲こうとする花の生命力が凝縮されているようで、これはこれで非常に見応えがあります。


強風の中、視点を変えて楽しむ「俯瞰の美」

この日はかなりの強風が吹き荒れていました。 本当は、透過する光を浴びた花びらのアップを写真に収めたかったのですが、枝が激しく揺れ動き、ピントを合わせるのが至難の業。早々に接写はあきらめました。

しかし、ここ葵桜の本当の楽しみ方は、マクロだけではありません。 個人的に最もおすすめしたいのが、「竜美丘会館」の2階から見下ろす景色です。

竜美丘会館からの眺望 建物2階の窓やデッキから外を眺めると、ちょうど桜の「冠」の部分が足元に広がります。 下から見上げるのとは違い、ピンクの雲海が川沿いにどこまでも続いていくような、幻想的なパノラマを楽しめるのです。

この「俯瞰の視点」こそが、乙川沿いの葵桜の真骨頂。強風に煽られて波打つピンクの並木道は、まるで生き物のように躍動しており、地上で見るのとはまた違った感動を味わせてくれました。


結びに:変わりゆく街と、変わらない春

7年ぶりに訪れた岡崎。 駅前の風景は劇的に変わり、かつての面影を探すのが難しいほどでしたが、乙川沿いに咲く葵桜の鮮やかさは、2019年のあの時と何ら変わりありませんでした。

むしろ、25年前に植樹された木々が年々成長し、より深く、より美しく街を彩るようになっている。コンクリートの再開発と、命ある桜の成長。その両方を同時に感じられるのが、今の岡崎を歩く醍醐味かもしれません。

葵桜の見頃は、来週(3月上旬)にかけてピークを迎えるでしょう。 もしあなたが、少し早い春の訪れを五感で感じたいと思っているなら、ぜひ東岡崎駅から乙川沿いへと足を運んでみてください。風に揺れるピンクのトンネルが、きっとあなたを優しく迎えてくれるはずです。

地図

〒444-0864 愛知県岡崎市明大寺町北中平地

 

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