京都鉄道博物館 後編:ジオラマに見惚れ、蒸気機関車に圧倒された一日 ( 京都府京都市の旅 : 2025-05-10 )

 

 

京都鉄道博物館 後編(京都府京都市)

京都鉄道博物館を訪れた日の午後。前編では、エントランスからプロムナード、本館1Fにかけての展示を紹介しましたが、今回はその続き、施設のメインフロアともいえる本館2F、そして屋外の扇形車庫、最後に旧二条駅舎の様子をお伝えします。

京都鉄道博物館 前編:プロムナードと本館1Fで感じる鉄道の鼓動 ( 京都府京都市の旅 : 2025-05-10 )

本館2F:鉄道文化と体験の集大成

本館1Fの吹き抜け部分から上がった先が、今回の中心舞台となる本館2F。

天井の高い開放的な空間は、訪れる人々を包み込むような雰囲気があり、ここが館内でもっとも滞在時間が長くなる場所ではないかと思います。展示を見るだけでなく、体験する、学ぶ、休憩する、食べる…さまざまな要素が一体となった、まさに“鉄道のテーマパーク”のようなエリアです。

2Fに上がってまず目に入ったのが、昔の改札と現代の改札を並べた展示。かつての改札では、実際に切符を通して改札をくぐる体験ができ、子どもたちはもちろん、大人たちの間からも懐かしさを含んだ笑い声がこぼれていました。

一角には、丹波口駅の昔の駅名板や、広島駅の貴賓室で使われていたシャンデリアといった、一般にはあまり知られていない貴重な展示も。歴史の裏側を覗くような感覚が味わえる、マニア心をくすぐるエリアでした。

さらに進むと、目玉のひとつ「運転シミュレーション体験」が。

残念ながらこの日はすでに整理券が完売しており、実際に体験することはできませんでしたが、ガラス越しに見た子どもたちの真剣なまなざしがとても印象的でした。ハンドルを握るその姿に、かつて鉄道運転士を夢見た自分の少年時代を重ねてしまいます。

鉄道ジオラマ:小さな世界に詰まった“鉄道愛”

2Fでもっとも印象に残った展示、それは何といっても「鉄道ジオラマ」です。開始5分前だったので迷わず待機列に並び、見学することに。すでに多くの人が集まっており、後方の席からの見学になりました。

このジオラマ、想像していたよりも遥かに大規模で、広大なスペースに精密な街並みや鉄道路線が再現されています。着席スタイルでじっくりと見られるのはありがたいのですが、やや距離があり、もっと間近で見たかったなというのが正直な感想。角度によって見えづらい部分もあり、これは何度も通って座る席を変えて楽しむのが良さそうです。

ショーの進行は、アナウンスに合わせて時間帯が「朝→昼→夕方→夜」と変化していき、それに伴って街の灯りや電車の数、走る路線にも変化が出ます。電車の種類が多いため、どれがどれかを把握するのはなかなか大変でしたが、それでも「ドクターイエローが走ります!」というアナウンスが入ったときは、客席からどよめきが起こり、まるでアイドルが登場したかのような盛り上がり。

もちろん模型ではありますが、その姿はやはり特別。おもちゃの域を越えて、誰もが笑顔になれる存在なんだなと実感しました。

扇形車庫と転車台:蒸気機関車の聖地へ

ジオラマを堪能した後は、いよいよ屋外施設へと足を運びます。

外に出るとすぐに目に入るのが、国の重要文化財にも指定されている「扇形車庫」。

まるで映画のセットのような荘厳な建物に、ずらりと並んだ蒸気機関車たち──まさに“鉄道の聖域”といった風格です。

明治から昭和にかけて実際に走っていた蒸気機関車が勢揃いし、その存在感にはただただ圧倒されるばかり。時代を超えて生き残った“鉄の巨人たち”の佇まいは、言葉では語り尽くせないほどの重みと美しさを湛えています。

中央に設置された転車台は、機関車の向きを変えるための回転装置。タイミングが合えば、実際に蒸気機関車がこの上で回転する様子を見ることができます。今回はその実演には立ち会えなかったのですが、写真や映像だけでも十分に迫力を感じることができました。

また、子どもたちに大人気だったのが、トーマス風の車両の顔をあしらったスポット。正面から見ると、にっこりとした顔の蒸気機関車が現れ、たくさんの家族連れや外国人観光客が記念撮影を楽しんでいました。

近くには「SLスチーム号」のりばがあり、実際の蒸気機関車に乗車できるという体験展示も。この日は時間の都合で乗ることができなかったのですが、毎日運行されているというのは本当にすごいこと。次回はぜひ体験してみたいと思いました。

旧二条駅舎:明治の息吹を残す文化財

最後に訪れたのが、博物館の一角に建てられた「旧二条駅舎」。

外観を一目見ただけでその美しさに目を奪われます。木造二階建ての瀟洒な建物は、明治37年(1904年)に建設され、日本最古級の木造駅舎として長く親しまれてきました。

平成8年には京都市の有形文化財にも指定され、現在はミュージアムショップや展示スペースとして活用されています。内部に足を踏み入れると、まるで明治時代にタイムスリップしたかのような雰囲気。柔らかい木の香りと、落ち着いた空気感がなんとも心地よく、鉄道博物館の旅の締めくくりにふさわしいひとときとなりました。

ショップでは、0系新幹線やSLにちなんだお土産グッズも豊富で、鉄道ファンならずとも心惹かれるラインナップでした。

こうして、プロムナードから始まった京都鉄道博物館の旅も、旧二条駅舎で無事に完結。鉄道という一見単なる「移動手段」が、時代とともに育まれてきた文化であり、技術であり、そして人の思い出をつなぐ存在であることを、改めて実感できる施設でした。

またいつか、季節を変えて訪れたい。今度は「SLスチーム号」にも乗ってみたいし、あのナシ20形食堂車で一杯飲んでみたい。

京都駅から少し歩けば出会えるこの場所は、鉄道を愛するすべての人にとって、心踊る“原点回帰の旅”となることでしょうね!

住所 / 地図

〒600-8835 京都府京都市下京区観喜寺町

 

Follow me!