四日市市立博物館とトナリエ四日市:常設展示「時空街道」がすこがった ( 三重県四日市市の旅 : 2025-05-04 )
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四日市市立博物館 / トナリエ四日市(三重県四日市市)
三重県に来ると、ちょくちょく近鉄四日市駅に降り立ちます。とはいえ、たいていは駅隣接の近鉄百貨店に立ち寄って、ちょっと買い物してから名古屋に引き返すというパターンが定番になりつつありました。
けれど今回は、そんなルーティンをちょっと変えてみることに。近鉄四日市駅から西へ少し歩いて、「四日市市立博物館」へ足を運んでみました。以前からその存在は知っていたものの、訪れたことはなかったのです。
四日市市立博物館のさらに西側にある「四日市市文化会館」には、かつて何度か訪れた思い出があります。2009年には倉木麻衣さんのライブ、2014年にはMay.Jさんのコンサート、さらには学祭イベントでnobodyknows+のライブなど、なつかしい記憶がよみがえります。でも、そんなに近くまで来ていたのに、四日市市立博物館にはなぜか一度も立ち寄ったことがない。記憶のなかに、博物館の影すら残っていないというのがなんとも不思議です。
そんな博物館の前には、「四日市市民公園」という大きな公園が広がっていて、名古屋でいえば伏見の白川公園を思わせるような、広々として見晴らしのいい空間がひろがっていました。芝生とベンチ、彫刻オブジェが点在していて、散歩する人の姿もちらほら。
その公園に面して3つほど建物が並び、うちのひとつが「四日市市立博物館」です。
ガラス張りのファサードが印象的な、モダンな建物。こういう施設って、大人になると逆に行きたくなってくるものなんですよね。子どものころは半ば強制的に訪れていた博物館も、大人になると能動的に歩きたくなってくるから不思議です。
博物館内は大賑わい!コナンと絵本作家の影響
建物に入ろうとした時に、まず目に飛び込んできたのは、予想以上の人の多さ。子ども連れの家族で賑わっています。なんでこんなに混んでいるんだろう?と思っていたら、なんと博物館内にあるプラネタリウムで「名探偵コナン」とのコラボイベントが開催されているとのこと。
しかも、特別展示として「かがくいひろしの世界展」も同時開催中。ゴールデンウィークと重なったこともあって、チケット売り場には行列ができていました。
プラネタリウムにも惹かれましたが、すでにその日のチケットは完売。今回は、2階・3階の常設展示と、4階で開催されている「かがくいひろしの世界展」を観覧することにしました。絵本展の内容は、別の記事で紹介する予定なので、今回は常設展示室についてご紹介します。
3つの展示で四日市を深掘りする
常設展示室は無料で見学可能という嬉しいポイント。展示は以下の3つのエリアに分かれていました。
◆ 時空街道(3階)
まず訪れたのが、四日市の歴史を原始時代から江戸時代まで辿る「時空街道」。このエリアが個人的にはもっとも心に残りました。
竪穴住居が原寸大で再現されていたり、江戸時代の宿場町の通りが立体的に展示されていたりと、まるで歴史のなかを歩いているかのよう。とくに印象的だったのは、四日市の名前の由来となった「四日の市」が行われていた室町時代の市の再現エリア。各地から商人が集い、品物のやりとりがなされている様子を再現したジオラマは、大人の私でもついつい見入ってしまいました。
展示のクオリティがとても高くて、正直、ここだけでも来た甲斐があったと感じました。
◆ 丹羽文雄記念室(3階)
次に立ち寄ったのが、四日市出身の作家・丹羽文雄に関する展示室。私は丹羽文雄という名前を聞いたことがある程度で、それほど詳しくはなかったのですが、展示を見ていくうちに、彼がどんな作家で、どのようなテーマを持って執筆活動をしていたのかがよくわかりました。
執筆に使っていた机や愛用品、肉筆の原稿など、文豪の人となりにじかに触れられるような展示構成になっていて、文芸好きの方には特におすすめです。
◆ 四日市公害と環境未来館(2階)
最後に訪れたのが、「四日市公害と環境未来館」。高度経済成長期の1960年代、四日市が全国的にも注目される公害問題の地となっていたことは知っていましたが、展示を見ていくうちに、具体的な被害状況や行政・市民の対応の歴史が明らかになっていきます。
映像による証言や当時の資料、さらに現在の環境対策の取り組みまでが丁寧に紹介されていて、「過去の負の遺産をどう乗り越え、未来に生かすか」を真剣に考えさせられました。子ども向けにも工夫された展示が多く、親子で学びながら話し合える空間になっています。
博物館見学の後は、トナリエ四日市へ
博物館を出たあとは、そのお隣にある大型商業施設「トナリエ四日市」へ。
こちらは観光者向けのお土産屋さんをはじめ、アピタ、コジマ、ビックカメラ、大型書店に100円ショップのセリア、ファミレスのサイゼリヤまで揃った、まさに“なんでもある”ショッピングセンターです。さらには映画館まで入っていて、まる一日ここで過ごせてしまいそうな規模感。
駅のすぐそばには近鉄百貨店もあるし、こうした便利で多様な施設が並んでいるのは、さすが三重県でも屈指の賑わいを見せる都市・四日市市ならではだと実感しました。
これまで何度も近鉄四日市駅には来ていたものの、今回初めて四日市市立博物館とトナリエ四日市に足を運んだことで、四日市の新たな一面に出会えた気がします。
駅近くの百貨店だけで満足していた自分に、ちょっと反省しつつ――次回は、今回見逃したプラネタリウムにもぜひ足を運んでみたいと思います。
住所 / 地図
〒510-0075 三重県四日市市安島1丁目3−16