白鳥庭園で出会う晩秋の彩り(名古屋市熱田区の旅:2025-11-30)
白鳥庭園(名古屋市中区)
名古屋城から六番町へ
2025年11月30日。名古屋城で紅葉と武将隊演武を満喫したあとは、地下鉄に乗り六番町駅へ向かいました。六番町駅に降り立つのは久しぶり。ここから東へ10分ほど歩くと、白鳥庭園の静かな空気が待っています。思えばここを訪れたのは2019年、桜が満開の季節以来。あれから六年半の月日が過ぎましたが、庭園へ続く道を歩いていると、当時の光景がふと蘇ってきます。
白鳥庭園は、四季折々の景色が楽しめる名古屋を代表する日本庭園。その美しさから、季節を変えて何度も訪れたくなる場所です。この日は「観楓会」が開催されており、夕方からは紅葉ライトアップが楽しめる特別な日でもありました。過去にライトアップは鑑賞したことがあるため、今回は昼間の光の中で紅葉をじっくり楽しむことにしました。
清羽亭へ続く美しい流れ
白鳥庭園に入ると、まず耳に届くのは水の音。せせらぎが庭園内にほどよいリズムを生み、都会にいることを忘れさせてくれます。園内のあちこちで赤や黄色の葉が揺れており、池の水面にも色とりどりの景色が映り込んでいます。訪れた時間帯は午後の早い時間で、日差しがやわらかく紅葉がいっそう映える絶好のタイミングでした。
そして、今回もっとも楽しみにしていた場所へ向かいます。庭園のほぼ中央、流れのほとりに佇む「茶室 清羽亭」。
ここが白鳥庭園での私のお気に入りスポットです。清羽亭は、自然素材を生かし、京都の数寄屋大工と尾張の大工が協力して造り上げた本格的な数寄屋建築とのこと。数寄屋建築ならではの繊細さと温もりが随所に感じられ、周囲の木々や水の流れと調和した佇まいが実に美しい建物です。
清羽亭の庭では、赤を中心とした紅葉が見頃を迎えていました。木々の合間からこぼれる陽光が、赤い葉を照らして輝かせ、地面には淡く色づいた葉が降り積もっています。流水に囲まれているため、庭側から眺めても、反対に流水越しに清羽亭を眺めても、まるで絵巻物の世界のように感じられるのが魅力です。
茶室の室内に広がる落ち着いた空間
この日は清羽亭の室内でイベントが行われていたため、無料で室内に入ることができました。普段は外から眺めることが多い茶室ですが、中に入ると外観とはまた違う表情が感じられます。木の香りがほのかに漂い、凛とした空気が流れ、窓越しに見える庭の景色が和の落ち着きを際立たせていました。
畳の部屋に差し込む光、障子の白さ、床の間のしつらえ。どれも丁寧に作られており、心が静かに整っていくような空間です。こんな家に暮らしたら、毎朝の時間がどれだけ豊かに感じられるだろうか。思わずそんな想像をしてしまうほど快適で、美しさと品格を兼ね備えた茶室でした。
室内から庭を眺めると、窓枠が額縁のような役割を果たし、紅葉がひときわ鮮やかに映えます。茶室という空間を通すことで、庭の景色が一つの作品のように感じられるのが、日本庭園の魅力でもあります。
園内を巡りながら、変わらない美に触れる
茶室を後にし、ゆっくりと園内を巡りました。池の周りを歩くと、水面に映った紅葉が揺れ、時折吹く風が落ち葉を舞い上げます。四阿から眺める景色もまた良く、散策路を歩くたびに異なる表情の紅葉が目に飛び込んできます。
白鳥庭園には「起伏のある地形」「水の流れ」「季節を感じる植栽」といった要素が巧みに組み合わされており、歩くたびに景色が変わっていくのが特徴です。そのため何度訪れても新鮮で、季節ごとの良さがしっかりと伝わってきます。
初めてここを訪れてから気づけばもう20年近く。庭園の景色は少しずつ変化しながらも、根底にある美しさは変わっていません。池を渡る風、木々のざわめき、水音の響き。自然と建築が調和し、訪れる人の時間をゆっくりと流してくれる空間です。
六年半ぶりに歩いた白鳥庭園は、以前よりも紅葉が深まり、訪れる時間がより豊かなものになったように感じました。名古屋城で賑やかな歴史の世界を楽しんだあとに、静かな自然美に包まれるという組み合わせも心地よく、旅の流れとしても最高でした。
旅を締めくくって
美しい紅葉、清羽亭の趣ある姿、そして庭園全体に漂う穏やかな空気。久しぶりに訪れた白鳥庭園は、記憶の中にある風景と変わらぬ魅力を放ちながら、新たな発見も与えてくれました。次は冬、春、また違う季節にも足を運びたくなる場所です。
今回の旅は、名古屋の自然と文化に触れながら、心がゆったりと整う時間になりました。
地図
〒456-0036 愛知県名古屋市熱田区熱田西町2−5






































