豊国神社、方広寺、川辺の静けさ ― 京都で過ごす旅の締めくくり ( 京都府京都市の旅 : 2025-05-23 )

 

 

豊国神社 / 方広寺(京都府京都市)

智積院での拝観を終えると、いよいよ今回の京都旅も残すところわずか。
名残惜しい気持ちを胸に、次の目的地へと歩を進めました。

智積院から歩いて数分、塩小路通を越え、緑に囲まれた大きな鳥居が目に入ります。そこが豊臣秀吉を祀る「豊国神社」です。

 

豊臣秀吉ゆかりの社

豊国神社は、秀吉の没後、その功績を称えて創建された神社です。立派な唐門は国宝にも指定されており、桃山時代の豪華さと繊細さを併せ持つ意匠が見事。近づいて眺めると、彫刻の一つひとつに職人の息遣いが感じられます。

境内は広々としていながらも、人の気配はまばらで、都会の喧騒が嘘のよう。秀吉公に旅の安全と今回の京都滞在への感謝をお伝えし、静かに手を合わせました。

唐門をくぐり抜けると、そのまま隣接する「方広寺」へ。

 

方広寺と巨大な鐘楼

方広寺といえば「国家安康、君臣豊楽」の銘文事件で知られる鐘が有名です。

境内にそびえる鐘楼は、近くで見ると圧倒される大きさ。静かに吊るされた梵鐘は、長い歴史を静かに物語っているかのようでした。

方広寺の本堂は現在では簡素な造りですが、かつての壮大な伽藍の面影を想像すると、時代の移ろいを感じずにはいられません。

 

耳塚と鼻塚 ― 戦の記憶

さらに足を進めると、「耳塚(鼻塚)」と呼ばれる場所に辿り着きます。

豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に戦利品として持ち帰られた耳や鼻を供養するために築かれた塚です。史実としては重い背景を持つ場所ですが、現在は石碑と小さな祠が静かに佇み、訪れる人々に歴史の一面を伝え続けています。

観光地として賑わう京都の中でも、この一角はとても静かで、歴史の重みを直接感じられる稀有な場所でした。

 

鴨川の眺めと高瀬川の静けさ

耳塚を後にし、京都駅へ向かう道すがら、まずは鴨川沿いを少し歩きました。

5月の穏やかな陽気の中、川面には柔らかな光が降り注ぎ、新緑の木々が風にそよぎます。川辺を流れる涼やかな風が心地よく、橋の上から見下ろす景色は、初夏の京都らしい開放感に満ちています。

そこから少し道を折れ、高瀬川沿いへ。鴨川の広がりとは対照的に、こちらは細く穏やかな流れ。並木が川面に影を落とし、時折、風で葉が揺れる音が聞こえるだけ。

川辺を歩いていると、仲睦まじく並んでいっる鴨の夫婦を発見。穏やかな陽射しの中、羽を休めながらゆったりと過ごす様子は、見ているこちらまで優しい気持ちにさせてくれます。まるで「また京都においで」と見送ってくれているような、心安らぐ時間が流れていました。

 

京都旅の終わりに

高瀬川沿いの静かな道を抜けると、再び街の賑わいが戻ってきます。京都駅に近づくにつれ、行き交う人々の数が増え、旅の終わりが近づいてきたことを実感しました。

駅のホームで新幹線を待ちながら、今回の旅の充実感と、まだ見ぬ京都の景色への好奇心が入り混じる感覚に包まれます。秋にはまた京都を訪れる予定ですが、紅葉の時期はさらに行きたい場所が増えてしまいそうです。

歴史も自然も食も、訪れるたびに新しい発見があるのが京都の魅力。今回の旅で出会った静けさや温かさを胸に、再訪の日を心待ちにしています。

 

住所 / 地図

〒605-0932 京都府京都市東山区妙法院前側町451

 

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