豊田市博物館でリベンジ!特別展「古代エジプト」 ( 愛知県豊田市の旅 : 2025-09-06 )
豊田市博物館(愛知県豊田市)
2025年9月6日、ようやく“リベンジ”の時がやってきました。
2025年7月21日に豊田市博物館を訪れた際、1時間以上の待ち時間に心が折れ、泣く泣く入場を断念した「古代エジプト」展。あれから1か月半。あの日の悔しさを胸に、再び豊田市へ向かいました。
今回は、混雑がおさまるであろうタイミングを狙って午前中の到着。新豊田駅を降り立ち、まずは博物館近くの豊田産業文化センター内のカフェ「北斗星」へ。ここは、どこか実家を思い出させるような、気取らないやさしい味わいのランチがいただける場所。派手さはないものの、落ち着く味わいで、私にとって“豊田市の定番”となりつつあります。
しっかりエネルギーを補給し、いざ会場へ。今日はどうか混んでいませんように……と願いながら豊田市博物館に到着すると、待ち時間は10分以内!
ついに入場リベンジ成功。胸を張って館内へ進みました。
特別展「古代エジプト」展とは
今回の特別展は、アメリカの名門 ブルックリン博物館が所蔵する古代エジプト・コレクションが日本へ巡回した大型展覧会。ブルックリン博物館はエジプト学研究でも世界的に知られ、ミイラ、木棺、彫像、生活用品、神像など、信仰から日常まで多岐にわたる所蔵品を持っています。
展覧会は大きく3つのテーマで構成され、古代エジプトの暮らしから死生観まで、一連の文化体系を体験できる内容です。
パート1「暮らしと日常」では、化粧道具やアクセサリー、生活を支えた職人の道具、家族のつながりを示す副葬品などが並び、まるでずっと昔のエジプトの家庭を覗き込むような展示が特徴。人々の生活は華やかな装飾世界だけでなく、祈りとともにある日常だったと伝わってきます。
パート2「王と建築、ピラミッド」では、王たちの権力を象徴する巨大建築や神殿を彩ったレリーフ、王墓に関する資料を中心に展示。ピラミッドを築いた技術、王権と宗教が結びついた独特の世界観が、彫像や壁画の力強い表現から伝わってきます。王名が刻まれた石片や、儀式に使われた神官の像など、国家の営みを支えた人々の姿も垣間見えました。
そして今回の展覧会で最も注目されていたのが、パート3「死と来世、ミイラと動物との共在」。死は終わりではなく、復活のための通過点と捉えた古代エジプトの思想を象徴する貴重な資料がずらりと並びます。人間だけでなく、猫や鳥のミイラなど動物たちの存在も、当時の宗教観を深く理解する上で欠かせない要素として紹介されています。
本展の大きな特徴は、ほとんどすべての展示が写真撮影可能であること。ミイラや木棺まで撮影できる機会はなかなかありません。古代エジプトの造形美を間近で楽しめる、非常に貴重な展示です。
ぎゅうぎゅうのパート1から、落ち着いたパート2へ
無事入場できてホッとしたのも束の間、最初のフロアに足を踏み入れた瞬間、思わず「うわっ」と声が漏れそうになりました。
パート1「暮らしと日常」は、人の密度がとにかくすごい。展示物の量に対してスペースがやや狭めなこと、そして撮影OKで立ち止まる人が多いこともあって、全然前に進めません。
少し作品を眺めては人に押され、また止まり……という状態。
展示そのものは、日用品や装飾品が多く、当時の生活の息遣いが感じられる素敵な内容なのですが、どうにも落ち着かず、私は早々に退散することにしました。
ところが、次のフロアに進んだ瞬間、空気が一変。
パート2「王と建築、ピラミッド」は、ゆったりとした動線で、さっきまでの圧迫感が嘘のよう。巨大なレリーフの前に立つと、まるで神殿の中に入り込んだような気分になり、ゆっくりと鑑賞できました。王の姿を刻んだ石像の静かな力強さ、装飾の細やかさに思わず足を止めてしまいます。
圧巻のパート3、ミイラと再生の世界
今回いちばん心を奪われたのが、この展示の最終章であるパート3「死と来世、ミイラと動物との共在」です。
大きな注目は、紀元前1100〜700年頃の「大人の人間ミイラ(木棺付き)」。
ガラスケース越しとはいえ、3000年以上昔の人がここに“存在”している。その事実に、静かだけれど強い衝撃を受けました。ミイラを包む亜麻布の褐色の質感、模様の残り方、そして彫りの細かい木棺。再生の儀式にかけられた祈りの重さが伝わってきます。
さらに、猫のミイラや、アヌビス(死者の守護神)・オシリス(冥界の王)など、死と復活に関わる神々の像も数多く展示され、古代エジプト人がどれほど「死後の世界」を大切にしていたかが実感できます。
副葬品や再生の象徴とされる護符(スカラベ、翼を広げたイシスなど)も美しく、精神世界の豊かさに思わず見入ってしまいました。
そして何より驚くべきは、これらがすべて撮影できるということ。
本当に撮っていいのかとこちらが心配になるほど。写真を撮りながら何度も足を止め、歴史の深さに圧倒されました。
展覧会の終盤を歩きながら、「ああ、7月に諦めたけど、今日来られてよかった」と心の底から思いました。
訪れるタイミングを変えただけで鑑賞体験は大きく変わり、今回は充実した時間を過ごすことができました。混雑にも驚きましたが、それだけ多くの人が古代エジプトの魅力に惹かれている証拠でもあります。
豊田市博物館の展示力と、ブルックリン博物館の圧倒的なコレクション。その組み合わせがもたらす迫力は、想像以上でした。
またひとつ、旅の思い出が増えました。
地図
〒471-0034 愛知県豊田市小坂本町5丁目80







