近鉄長島駅から輪中の郷、国営木曽三川公園・輪中ドームまで。水とともに生きた土地を歩く (三重県桑名市の旅 : 2025-11-15)

 

 

輪中の郷、国営木曽三川公園・輪中ドーム(三重県桑名市)

2025年11月15日。晩秋の空気が澄みわたる朝、今回の旅は近鉄長島駅から始まった。目的地は岐阜県海津市にある「木曽三川公園 木曽三川公園センター」。地図を眺めながら、駅前でタクシーを捕まえ、穏やかにスタートする――そんな想定は、駅に降り立った瞬間にあっさり崩れた。

駅前からタクシー会社3社に電話をかけるも、返ってくるのは「現在空車なし」の返答ばかり。朝9時。早朝だからこそ余裕だろうと考えた自分を、心の中で少し笑った。とはいえ、立ち止まっていても始まらない。歩くことに決めた瞬間から、この旅は“歩く旅”へと静かに舵を切った。

住宅街を北へ|静かな道が背中を押す

近鉄長島駅周辺から、まっすぐ北へ延びる道をひたすら進む。歩道が整備された住宅街は驚くほど静かで、通る車もまばら。平坦な道が続き、歩くテンポは自然と整っていく。


空は高く、雲の切れ間からやわらかな日差しが差し込む。11月とは思えないほど穏やかな陽気。旅の序盤にこうした環境が整っていると、心まで軽くなる。

農園エリアへ|風景が少しずつ変わる

10分ほど歩くと、景色は住宅街から農園エリアへと移ろう。

畑が点在し、遠くに低い建物が見える。人の気配は少なく、代わりに風の音や鳥の声が耳に届く。
道はゆるやかに右へと曲がり、進行方向は北東へ。歩きながら、木曽三川に囲まれたこの地域の地形を、身体で感じるような感覚があった。高低差はほとんどなく、空が広い。水と共に生きてきた土地の特徴が、風景の端々ににじんでいる。

楠神社|旅の無事を祈る

小さな集落を抜けた先、道の脇にひっそりと佇む神社が現れる。

長島町西川にある楠神社だ。派手さはないが、長年地域を見守ってきたことが伝わる落ち着いた佇まい。
鳥居をくぐり、旅の無事を静かに祈願する。

歩く旅では、こうした小さな立ち寄りが心を整えてくれる。神社を後にすると、足取りが少し軽くなった気がした。

輪中の郷|水とともに生きた知恵

楠神社からさらに数分歩き、今回の前編の大きな目的地である「輪中の郷」に到着する。


輪中の郷は、長島地区で培われてきた治水と暮らしの歴史を学べる郷土資料館だ。木曽三川に囲まれ、海抜0メートル前後の低地で生きてきた人々は、洪水を前提に生活の知恵を積み重ねてきた。その象徴が「輪中(わじゅう)」と呼ばれる独特の防災・生活システムである。


館内では、かつての堤防の構造、水害時の避難方法、日常生活で使われていた道具などが丁寧に展示されている。残念ながら館内は撮影不可だったが、長島一向一揆や伊勢湾台風の記録、そして災害に直面した地域の対応を伝える展示は、静かながら強い印象を残した。
展示を見終えたあと、外の風景を眺めると、何気ない平野の広がりが少し違って見えてくる。土地の歴史を知ることは、風景の解像度を上げてくれる。

国営木曽三川公園へ|広大な緑のスケール

輪中の郷に隣接するのが、国営木曽三川公園。木曽川・長良川・揖斐川という三大河川に囲まれた、日本有数のスケールを誇る国営公園だ。

13の拠点に分かれ、自然体験からスポーツ、レクリエーションまで幅広く楽しめる。


その広さゆえ、すべてを巡ることはできなかったが、ひときわ目を引いたのが「輪中ドーム」だった。

輪中ドーム|地域に根ざした大空間

輪中ドームは、全天候型の屋内多目的運動場。人工芝が敷かれた広い空間は、スポーツはもちろん、イベントや催しにも対応できる設計だ。


外観のインパクトは抜群で、近づくにつれてそのスケール感に圧倒される。内部には観客席もあり、今回はそこでしばし休憩を取った。歩き続けてきた身体を預けるには、これ以上ない場所だった。


地域のイベント時にはマルシェなども開催されるという。こうした施設が身近にある環境は、正直うらやましい。

前編を終えて|歩くことで見えてくるもの

近鉄長島駅から始まり、住宅街、農園エリア、神社、そして輪中の郷と国営木曽三川公園へ。予定よりも長い道のりになったが、その分、この土地の空気や歴史をじっくり味わうことができた。
次回のブログでは、いよいよ木曽三川公園センターへ向かい、三川が織りなす景観と公園の核心部分を歩いていく予定だ。続く。

住所 / 地図

〒511-1102 三重県桑名市長島町西川1093

 

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