静かな時間が流れる洋館 〜ハイド記念館(旧清友園幼稚園)を訪ねて〜 ( 滋賀県近江八幡市の旅 : 2025-03-15 )

 

ハイド記念館 / 旧清友園幼稚園(滋賀県近江八幡市)

近江八幡の街を散策しながら、まず立ち寄ったのは「かわらミュージアム」。

瓦の歴史や美しさを学んだ後、次なる目的地へと足を運びました。

向かったのは、以前から気になっていたハイド記念館(旧清友園幼稚園)です。

歴史的建造物として見学できると知り、今回初めての訪問となりました。

ハイド記念館は、滋賀県近江八幡市にひっそりと佇む、美しい洋風建築の建物です。

1931年(昭和6年)に、清友園幼稚園の園舎として建てられたこの建物は、アメリカ出身の建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズによる設計。

近江八幡の街にはヴォーリズ建築が数多く残されていますが、ここもその一つ。

加えて、この建物の建設費用は、メンソレータム社創業者であるアルバート・アレキサンダー・ハイド氏の夫人からの寄付によって賄われたという、温かなエピソードも添えられています。

訪問の際、まず館内の入り口でスタッフの方が迎えてくださいました。とても丁寧に、記念館の成り立ちやヴォーリズ、ハイドにまつわる話を説明してくださり、建物の背景にある物語を知ったうえで見学ができたことは、とても貴重な体験でした。

建物は木造2階建て。館内へ足を踏み入れると、そこはまるで昭和初期へとタイムスリップしたような空間。

広々としたホールには暖炉があり、木製の階段や廊下はきしむ音すらも心地よく感じます。

往時の雰囲気がそのまま残されており、まるで静かな物語の一幕に入り込んだような気分になります。

現在は、創立者たちゆかりの品々や絵画、当時の資料を展示する記念館として一般公開されており、建物そのものが語りかけてくるようです。

2000年には国の登録有形文化財にも指定され、近江八幡の文化的シンボルとして大切に保存・活用されています。

特に心に残ったのは、かつて教育会館や体育館として使用されていた一室。

大きな窓から柔らかく差し込む光と、古びた木の香りに包まれたその空間には、どこか懐かしさと哀愁が漂っていました。

子どもたちの笑い声が今にも聞こえてきそうな、そんな優しい空間でした。

見学を終えた後は、徒歩で数分の場所にあるヴォーリズ記念館(一柳記念館)へ。

残念ながらこちらは内部非公開のため、外観のみの見学となりましたが、ヴォーリズ建築特有の優雅なフォルムを間近で見ることができました。

近江八幡の街がいかにヴォーリズの建築に彩られているかを、改めて実感するひとときでもありました。

 

今回の旅を通じて、ただ「見る」だけではなく、その建物が背負ってきた歴史や、そこに関わった人々の思いに触れることで、より深い感動を得ることができました。

ハイド記念館は、静かにたたずむ一軒の洋館でありながら、時代を超えて語りかけてくるような、そんな場所でした。

近江八幡の旅はまだまだ続きます。

 

地図

〒523-0851 滋賀県近江八幡市市井町177

 

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