静かな海に浮かぶ神域 八百富神社・竹島を歩く ( 愛知県蒲郡市の旅 : 2025-04-05 )
八百富神社・竹島(愛知県蒲郡市)
愛知県蒲郡市にある「竹島」。三河湾に浮かぶ小さな島でありながら、全体が神社の境内という、どこか神秘的な空気をまとう特別な場所です。
竹島水族館を後に、次はその竹島へ、晴れやかな青空のもと、のんびりと散策に出かけました。
海沿いの道と、にぎわいの芝生エリア
竹島を目指して海沿いの道を歩いていくと、「ホテル竹島」の前を通り過ぎるころ、ふと芝生広場の方に視線を向けると、数軒の屋台が並んでいるのが目に入りました。どうやらこの日、竹島の八百富神社で行われた行事の影響で、少しだけにぎわいを見せていたようです。
小さな子どもたちの楽しそうな声や、香ばしい匂いが、どこか懐かしい気持ちにさせてくれました。けれど、それでも全体的には穏やかで、この島の雰囲気にちょうど良く溶け込んでいました。
やがて、芝生の向こうに、竹島橋が海の上をまっすぐ伸びているのが見えてきます。その先には、青い海に浮かぶ竹島の姿。
橋のたもとでしばらく立ち止まり、潮風に吹かれながら、その景色をじっと見つめていました。
島全体が境内という、特別な神社
竹島橋を渡ると、すぐ正面には八百富神社の鳥居が現れます。
この鳥居をくぐった瞬間、まるで別世界に入り込んだような感覚に包まれました。
島全体が神社の敷地であり、訪れる人を優しく迎えてくれるような、穏やかな空気が漂っています。
神社の本殿は、島の中央に位置する小高い場所にあります。
緑に囲まれた石段をゆっくりと上がりながら、木々の間から差し込む光や鳥のさえずりを感じ、自然と背筋が伸びていくようでした。
八百富神社は、日本七弁天の一つとされ、市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)を主祭神に祀る、歴史ある神社です。ご利益は、開運・安産・縁結びなど。さらに本殿には、「福種銭(ふくたねせん)」と呼ばれる小銭があり、それを持ち帰り使うことで、再び福が戻ってくるとも言われています。
また、神社で引けるおみくじには、全国でも珍しい「大大吉」が入っているとのこと。今回はいただきませんでしたが、次回の楽しみに取っておきたいと思います。
境内には本殿のほかにも、宇賀神社、大黒神社、千歳神社、八大龍神社という四社が並び、それぞれ商売繁盛・学業成就・家内安全などのご利益があります。すべてを巡ることで、多くの幸福に恵まれるとされているのも、この島の魅力のひとつです。
海の道をめぐりながら、思い出に重なる時間
本殿への参拝を終えたあとは、島の南端「竜神岬」まで歩いてみることにしました。
潮の香りとともに、三河湾の穏やかな海と島々が目の前に広がり、その景色に思わず深呼吸。
何もないようで、すべてがあるような、静けさに満ちた時間でした。
そこから島の外周をぐるりと囲む「竹島遊歩道」へ。
海沿いの道を歩きながら、かすかに聞こえる波の音に耳をすませ、時折木陰で足を止めて景色を眺めたりと、心地よいペースで進んでいきます。
歩いているうちに、ふと昔の旅の記憶が蘇ってきました。
20年ほど前、小豆島でエンジェルロードを渡った先の島を歩いた時のこと。
あの時も、島をぐるりと一周しながら、知らない景色に心が躍ったのを思い出します。
大人になっても、こうした“歩く旅”の楽しさや、小さな冒険心は決して失われないものなんだなと、しみじみと感じました。笑
竹島は、派手な観光地ではありませんが、静かで、奥深く、歩くごとに心が澄んでいくような場所でした。
海と神話、祈りの空気が重なり合うこの島で、ゆっくりと時間を過ごすことができたことに感謝しています。
地図
〒443-0031 愛知県蒲郡市竹島町3−15