自然といのちの息吹にふれる旅 ~アクア・トト ぎふ探訪記(前編) ( 岐阜県各務原市の旅 : 2025-05-11 )
世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ(岐阜県各務原市)
今回の旅のスタート地点は、名鉄笠松駅。
目指す目的地は、岐阜県各務原市にある「アクア・トト ぎふ」。淡水魚専門の水族館としては世界最大級の規模を誇る施設です。
実はこのアクア・トト ぎふ、公共交通機関で訪れるには少し難儀します。アクセスの要となるのが笠松駅前から出る岐阜バス。
ところがこのバス、1日にわずか3本ほどしか運行されておらず、帰りの便も同様に本数が限られています。
今回は、行きはその貴重な岐阜バスに乗ってアクア・トト ぎふまで向かい、帰りは施設から15分ほど歩いて、笠松町のコミュニティバスに乗って笠松駅へ戻るルートを取りました。
岐阜県にあるとはいえ、アクア・トト ぎふの場所は愛知県との県境近く。隣接する「138タワーパーク」は愛知県側にあるため、公共交通だけでの訪問は一筋縄ではいきません。
そのアクセスの悪さゆえか、外国人観光客の姿はほとんど見かけず、館内は比較的落ち着いた雰囲気。観光地としての派手さは控えめですが、私にとっては今年訪れたスポットの中でもトップクラスに楽しい場所でした。
ちなみに笠松駅周辺といえば笠松競馬場があり、以前そのレース観戦に訪れたこともあります。駅前の売店では競馬関連のグッズが並び、ローカルな雰囲気を醸し出しています。
さて、バスに揺られること約30分、ようやく目的地に到着。
「アクア・トト ぎふ」は、正式名称を「世界淡水魚園水族館」といいますが、その親しみやすい愛称がよく知られています。淡水魚専門の水族館としては珍しく、地域密着型でありながら、世界中の淡水環境にも目を向ける展示内容が特徴です。
施設は「河川環境楽園」の一角にあり、周辺には「オアシスパーク」も隣接。飲食店や遊具施設、コンビニも揃っており、家族連れにもぴったりのエリアです。
今回は、館内の展示のうち、4階と3階にフォーカスし、2回に分けてその魅力をご紹介することにします。
入り口付近では、ゾウガメくんたちがおもてなし。
4階:長良川の源流をたどる
展示のスタートは最上階の4階から。
このフロアでは、長良川の源流部を再現した空間が広がっており、岐阜県郡上市高鷲町にある「叺谷(かますだに)」の渓谷や滝の様子がリアルに再現されています。
水槽には、冷たい水を好む「ヤマトイワナ」や、「クロサンショウウオ」といった、普段目にすることのない小型の両生類が潜んでいます。岩の隙間や落ち葉の下に静かに身を潜める彼らの姿を観察するのは、ちょっとした探検気分。
また、長良川の代表魚「アマゴ」や「サツキマス」が悠々と泳ぐ様子も見られます。滝壺を模したダイナミックな水槽に、思わず見入ってしまいました。
そして、このフロアの隠れた人気者が「コツメカワウソ」。
下の階の展示エリアに住んでいるのですが、4階からも彼らの様子を覗くことができます。寄り添いながらぐったりと涼んでいる姿に、心がほっこり。かわいすぎて、しばらく動けませんでした。
3階:長良川の流れとともに
続いて降りた3階は、長良川の上流から中流、さらに河口に至るまでを描いたフロアです。
上流から中流域では、郡上市や美濃市を流れる自然豊かな風景が再現されており、水槽の中では、アユやカワムツ、ウグイなどの魚たちが暮らしています。
特に印象的だったのは、アユが石についたコケをこそぎ取って食べる姿。瀬や淵といった川の構造を活かした水槽内の自然な光景は、まるで川辺に立っているかのような錯覚を覚えます。
そして、ここで出会った「オオサンショウウオ」。
世界最大級の両生類で、国の特別天然記念物にも指定されているその姿は、想像をはるかに超える大きさ。体長1.5メートルにもなるという巨体が水の中をじっとたたずんでいる様子は、ただただ圧巻でした。
さらに、3階の中でも後半エリアとなる「中流から河口」ゾーンでは、川幅が広がる様子や、ゆったりとした流れが表現されていました。
コイやナマズ、ウナギなど、身近な魚たちがゆるやかな水槽を泳いでいます。岩陰に身を隠すウナギ、底を這うナマズの姿など、それぞれの習性に合わせた環境が見事に再現されていて、観察のしがいがあります。
そして、思わぬ癒しの存在だったのが、泳ぐ魚たちの上をスイスイと漂うカモ夫婦。まるで水族館のアイドルのように、水面を優雅に進むその姿に思わず頬が緩みました。
水辺にはサギの姿もあり、生態系のつながりが感じられる工夫が随所に見られます。
展示はこの先、世界の大河、メコン川やアマゾン、コンゴ川などへと続いていきますが、それはまた次回のブログでご紹介することにしましょう。
一言で水族館といっても、ここまで川という存在に真剣に向き合っている施設は他にそう多くありません。
アクア・トト ぎふは、まさに“川を旅する水族館”。そしてこの日は、その“旅”の前編でした。
続編では、いよいよ世界の川へと出発です。お楽しみに。
地図・アクセス
〒501-6021 岐阜県各務原市川島笠田町1453 河川環境楽園内
アクア・トト ぎふ公式サイト:https://aquatotto.com/