高蔵寺から古代へ ― 「歴史の里しだみ古墳群」と「体感!しだみ古墳群ミュージアム」( 名古屋市守山区の旅 : 2025-06-01 )

 

 

体感!しだみ古墳群ミュージアム(名古屋市守山区)

高蔵寺駅から始まる古代への散歩

今回の旅は、名古屋市守山区にある「歴史の里 しだみ古墳群」と「体感!しだみ古墳群ミュージアム」を目指しました。

スタート地点はJR中央本線の高蔵寺駅。

駅を降りて南へひたすら歩くことおよそ20分。住宅街の中を進み、坂を上っていくと少しずつ視界が開け、庄内川を渡った先に新緑に包まれた東谷山の姿が見えてきます。

自然豊かな山並みと整った住宅街、その対比がどこか心地よく、古代と現代をつなぐこの土地の独特な雰囲気を感じました。

しばらく歩くと広々とした緑地のような空間が目に飛び込んできます。

ここが目的地「歴史の里 しだみ古墳群」。

公園のような敷地に点在する古墳群、そしてその入口に建つのが「体感!しだみ古墳群ミュージアム」です。周囲では小さな子どもたちが元気に走り回り、親子連れの姿も多く見られました。歴史的な遺産と、日常の憩いの場が共存している点にまず驚かされました。


志段味大塚古墳を歩く

ミュージアムに入る前に、まず足を運んだのが「志段味大塚古墳」。

しだみ古墳群の中でも代表的な古墳で、調査に基づき丁寧に復元されています。墳丘の上に登ることができ、眼下には大小さまざまな古墳が広がる風景。高台に立つと、1700年前の豪族たちがこの地を見渡していたのだろうと想像せずにはいられません。

墳丘の内部には復元された木棺が置かれており、その内部は赤色に塗られていました。これは「朱」と呼ばれる鉱物顔料で、古代の人々が亡き人の魂を鎮めるために用いたもの。学びながらも目の前にある鮮やかな色彩が強い印象を残します。

このほかにも、大久手池の堤防に取り込まれた「大久手5号墳」など、周囲には特徴ある古墳が点在しています。竹林に囲まれた小径もあり、歴史散策と自然散策を同時に楽しめるのも魅力でした。

体感!しだみ古墳群ミュージアムへ

たっぷり歩き回った後はいよいよ館内へ。

愛称「SHIDAMU(しだみゅー)」で親しまれる「体感!しだみ古墳群ミュージアム」は、古墳の知識を深めつつ、実際に体験できる工夫が随所に凝らされています。

展示室には、しだみ古墳群から出土した副葬品のレプリカや、古墳の築造方法を紹介するパネルが並びます。解説は子どもでも理解しやすい工夫がされており、大人にとっても改めて学び直す機会となりました。わずか200円の入館料で、これほど充実した内容に触れられるのは驚きです。

さらに、館内には古代の衣装を試着できる体験コーナーや、勾玉づくりなどのワークショップを行う「体験活動室」もあります。未就学児向けの「こどもこふん」では、小さな子どもたちが古墳を模した遊具で楽しそうに遊んでおり、家族で訪れても一日過ごせそうな雰囲気でした。


古代に思いを馳せて

展示を見ていると、古墳時代の人々の暮らしぶりや信仰心に自然と想像が広がります。副葬品の中には、庄内川の水運を利用して作られたであろう品々もあり、「この川の水を古代人も同じように眺めていたのだろうか」と思うと、過去と現在が一本の線で結ばれるような不思議な感覚になります。

今回は立ち寄らなかったものの、隣接するカフェ「CAFE MORI no UTA」は木の温もりを感じさせる落ち着いた空間で、古墳散策の後にゆっくりと過ごすには最適の場所だと聞きます。次回は必ず訪れてみたいと思います。

高蔵寺駅から歩いてたどり着いた「歴史の里 しだみ古墳群」と「体感!しだみ古墳群ミュージアム」。古墳群を実際に巡り、ミュージアムで体験しながら学ぶことで、古代史がぐっと身近な存在として感じられました。単なる歴史の知識としてではなく、土地の風景や生活の延長線上に古代の営みがあることを体感できるのは、しだみ古墳群ならではの魅力でしょう。

現代の住宅街の真ん中に広がる古墳群。その光景は、歴史と暮らしが共に息づく守山区らしい風景だと感じました。庄内川のせせらぎ、東谷山の緑、そして古墳群に宿る静かな時間。日常から少しだけ足をのばすだけで、1700年前の世界へタイムスリップできる。そんな豊かな体験をさせてくれる場所でした。

地図

〒463-0001 愛知県名古屋市守山区大字 上志段味字前山1367

公式サイト:https://www.rekishinosato.city.nagoya.jp/

 

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