豊田市博物館と豊田市美術館をめぐる一日旅【前編】 ( 愛知県豊田市の旅 : 2025-07-21 )

 

豊田市博物館(愛知県豊田市)

高蔵寺駅から豊田市へ、少し変わったルートで

2025年7月21日、名古屋市近郊から豊田市へ日帰りの旅に出かけました。今回の旅の目的は三つ。
ひとつは、2024年4月26日に新しくオープンした豊田市博物館の見学。
もうひとつは、同館で開催されているブルックリン博物館所蔵 特別展「古代エジプト」の鑑賞。
そして最後は、隣接する豊田市美術館で開催中の「モネ — 睡蓮のとき」展の鑑賞です。

先に結果をお伝えすると、「古代エジプト」展は1時間以上の待ち時間が発生していたため今回は断念しました。しかし、新博物館の充実した施設を初めて堪能でき、さらに豊田市美術館でモネ展を存分に楽しめたことで、十分満足のいく一日となりました。

旅のスタートはJR高蔵寺駅。

名古屋市中心部から豊田市へ公共交通機関で行く場合、地下鉄鶴舞線と名鉄豊田線を利用するのが一般的ですが、今回は少し違うルートを選択しました。JR高蔵寺駅から愛知環状鉄道に乗り換え、新豊田駅を目指すルートです。

JRと愛環の高蔵寺駅は同一の改札内にあるため、乗り換えは非常にスムーズ。休日ということもあり落ち着いた雰囲気でしたが、途中駅の八草(リニモ乗換駅)や新豊田駅へ向かう人が多く、車内は活気がありました。高蔵寺から約36分で新豊田駅に到着です。

駅西口から豊田産業文化センターに立ち寄り、少し休憩した後、愛知環状鉄道の線路沿いを南へ歩いて博物館を目指しました。

初めて訪れると分かりにくい導線で、私も少し迷いそうに。幸い道路には臨時警備員が立っており、案内に従うことで無事に敷地へ入ることができました。

そこから高台を半周するように進むと、ようやく正面入り口に到着。高台の上に建つ姿は堂々としており、大きな展覧会の看板が旅心を高めてくれます。

豊田市博物館 ― 建築の魅力と演出

豊田市博物館の入口の屋根には開口部が設けられており、太陽の光が差し込むと床面に豊田市の市章が映し出される仕掛けがあります。光と影を利用した美しい演出で、入館前から印象に残る建築体験です。

メインエントランスには、豊田市産の木材を使った木造列柱が並び、大きな屋根が悠々と伸びています。自然素材の柔らかさと現代的な設計が調和しており、館内へ入るとまるでリゾートホテルのロビーに足を踏み入れたような心地よさ。大きな窓の外に広がる新緑の庭園、その向こうには江戸時代の民家らしき建物も見え、後の散策が楽しみになりました。

チケット売り場ではすでに大行列ができており、「古代エジプト」展の入り口ではさらに長い入場待ち列が続いていました。スタッフの方によると、待ち時間は1時間以上とのこと。今回は特別展をあきらめ、常設展示を見学することにしました。

常設展示「とよたの自然と人々の営み」

豊田市といえば、車のまちというイメージが強いかもしれません。しかし、この常設展では、自然が豊かで、歴史ある地であり、さまざまな背景を持つ人々が集まって暮らす「多様性のまち」としての豊田の姿が丁寧に紹介されています。

自然環境とそこから生まれた文化や歴史、暮らしが一つの流れとしてつながっていく展示構成で、まちの奥深さを知ることができました。

とりわけ印象に残ったのは、「とよたモノ語り」の展示。アクセサリーケースのような形をした特徴的な展示で、デザイン性と物語性が合わさっており、目を引く存在でした。

2階には資料閲覧コーナーや調査スペースがあり、さらに奥へ進むとショップとカフェ、キッズスペースが広がります。ショップでは、展示に登場する“メジェド様”をモチーフにしたユニークな「メジェド様うちわ」が販売されており、その斬新なデザインに思わず笑みがこぼれました。カフェは人気で行列が絶えず、今回は利用を断念しました。

庭園から屋外展示へ

館内を回ったあとは、ウッドデッキを進み屋外展示へ。


ここには、

  • 江戸時代の庄屋の母屋「むかしの家」

  • 明治時代の土蔵

  • 樫尾1号墳(野見山町にあった円墳)

  • 豊田市のため池や水路を再現した観察池

といった施設が点在しています。

江戸時代の庄屋建築は重厚で落ち着いた佇まいで、柱や梁に残る時代の息遣いが感じられます。土蔵は明治の雰囲気を残しながら、整えられた周囲の庭園とよく調和していました。観察池では、水の流れや植生を通して、豊田の農業が支えられてきた仕組みを学ぶことができます。

屋外エリアは広々としており、街中にありながら自然と歴史を同時に味わえる、豊田市博物館ならではの魅力が詰まった場所でした。

こうして新しくオープンした豊田市博物館をたっぷりと楽しんだあとは、隣接する豊田市美術館へ向かいました。次回の【後編】では、この日のもうひとつの主目的である「モネ — 睡蓮のとき」展の鑑賞記をお届けします。

地図

〒471-0034 愛知県豊田市小坂本町5丁目80

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