浜名湖うなぎ「うな炭亭」 ― 旅の締めくくりは白焼丼 ― ( 静岡県浜松市の旅 : 2025-09-28 )

 

浜名湖うなぎ「うな炭亭」(静岡県浜松市)

中田島砂丘をあとにし、遠鉄バスで浜松駅近くへ戻ってきました。
一日を通して歩き続けたこともあり、足にはほどよい疲れ。
そんな旅のラストに選んだのが、浜松駅から徒歩5分ほどの場所にある、「浜名湖うなぎ うな炭亭」です。

浜松市中区砂山町。
駅前のにぎわいから少し入った場所に佇むこのお店は、実は私にとって思い出のある一軒。
二十年以上前、まだ今ほど自由に旅をしていなかった頃に、一度だけ訪れたことがありました。

当時の記憶に残っているのは、「とにかく美味しかった」という、ごくシンプルな感想。
その印象が本物だったのかどうか。
今回、あらためて確かめてみたくなったのです。

老舗が守り続ける、炭火焼きの流儀

うな炭亭は、創業以来、吟味した活鰻を使い、上質の備長炭でじっくりと炭火焼きにすることを大切にしてきたお店。
備長炭ならではの強い火力によって、外は香ばしく、中はふっくらとした理想的な焼き上がりを実現しているといいます。

店内に入ると、まず感じるのは、ふわりと漂う炭火の香り。
この香りだけで、「今日は間違いない」と思わせてくれるのは、老舗ならではの空気感でしょう。

タレは、長年継ぎ足しながら仕込まれてきたもの。
うなぎの旨味を引き立てることを第一に考えられた味わいだそうですが、今回はあえて、そのタレを使わない選択をしました。

白焼丼という、潔い選択

今回注文したのは、白焼丼(4,000円)


タレを使わず、素材そのものの香ばしさと旨味を味わう、うなぎ好きにはたまらない一杯です。

運ばれてきた丼を目にした瞬間、思わず姿勢を正してしまいました。
白焼きならではの、淡い焼き色。
そこに漂う、炭と鰻の香り。

余計な演出は一切なく、ただ「うなぎを味わう」ための佇まい。
旅の最後にふさわしい、静かな贅沢です。

ひと口で確信する、変わらぬ美味しさ

ひと口食べて、すぐに思いました。
――やっぱり、美味しい。

備長炭で焼かれた白焼きは、表面は香ばしく、中は驚くほどふわふわ。
塩味が、うなぎ本来の旨味を引き出し、噛むほどに滋味が広がっていきます。

脂はしっかりとのっているのに、重たさは感じません。
これは、素材の良さと焼きの技術があってこそ成り立つバランスなのでしょう。

白焼丼には、うなぎとご飯のほか、小鉢と吸い物が付き、食事としてのまとまりもしっかりしています。
そして、食事の最後に添えられていたのが、デザートのキウイ

最後の一口まで、計算された一膳

正直、最初は少し意外に思いました。
うなぎのあとにキウイ? と。

ところが、これが実に見事。
食後に口にすると、みずみずしい酸味が、炭火焼きの余韻をすっと洗い流してくれます。
脂ののった白焼きを味わったあとだからこそ、このさっぱり感が心地よく、胃に重さを残しません。

炭の香り、
うなぎ本来の旨味、
そして、食後の爽やかさ。

それらが一つの流れとして完成している——
白焼丼(4,000円)は、そんな印象を強く残す一杯でした。

二十年以上前の記憶は、決して美化されたものではなかった。
そう確信できたことも、今回この店を再訪してよかった理由の一つです。

浜松の旅を振り返って

こうして、浜松市の旅は静かに幕を閉じます。
風車公園を歩き、
浜松まつり会館で文化に触れ、
中田島砂丘で風と海を感じ、
最後に、浜松を代表する食で締めくくる。

歩きすぎた一日ではありましたが、その分、浜松という街の奥行きを、しっかり体感できた気がします。

帰りは、少し贅沢をして新幹線で名古屋へ。
行きはJRを乗り継いでのんびり来ましたが、帰路はこの疲労感も含めて、旅の余韻を大切にしたかったのです。

また来たくなる街

浜松市には、まだまだ知らない表情がたくさんあります。
今回訪れた場所も、季節や時間帯が変われば、まったく違う顔を見せてくれるはず。

来年も、浜松市にはちょくちょく足を運んでみよう。
そう思わせてくれる、大満足の旅でした。

地図・アクセス

〒430-0926 静岡県浜松市中央区砂山町354−1

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