長島城跡・又木茶屋・水辺のやすらぎパークを訪ねて ──長島川沿いの旅 (三重県桑名市の旅 : 2025-10-12)
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長島城跡・又木茶屋・水辺のやすらぎパーク(三重県桑名市)
2025年10月12日。
今回の旅先に選んだのは、三重県桑名市長島町です。
長島町といえば、ナガシマスパーランド、なばなの里、ジャズドリーム長島といった全国的にも知られた観光地が思い浮かびますが、それらの華やかなスポット以外に足を運ぶ機会は、これまでほとんどありませんでした。
だからこそ今回は、駅から歩いて行ける範囲をじっくりと巡り、この町の素顔に触れてみようという散策旅です。
旅のスタートは、近鉄長島駅。
改札を出るとすぐ目の前にはJR長島駅があり、私鉄とJRが並ぶ珍しい駅前風景が広がっています。
さらに駅の南側にはバスターミナルが整備され、ナガシマスパーランドやなばなの里へ向かうバスが発着しています。観光拠点としての役割を担う一方で、駅周辺にはどこか落ち着いた空気も漂っていました。
では、駅前から歩いていきましょう。
長島川へ――川音に導かれる散策路
駅前から東へと伸びる大通りを進み、200メートルほど歩くと、視界がふっと開け、長島川が姿を現します。
流れは穏やかで、水面には秋の空がやさしく映り込み、町の喧騒はいつの間にか遠のいていました。
長島川沿いには、丁寧に整備された遊歩道が続いています。舗装は滑らかで歩きやすく、無理なく自分のペースで歩けるのが嬉しいところ。川辺に立つと、かすかに水がせせらぐ音が耳に届き、風が草木を揺らす音と重なります。
ジョギングを楽しむ人、犬と散歩する人、ゆっくりとカメラを構える人――それぞれが思い思いの時間を過ごしており、この道が地域の暮らしに自然と溶け込んでいることが伝わってきます。
特に印象的だったのは、人工的な演出を感じさせない点でした。華美な装飾はなく、川と緑、空というシンプルな要素だけで構成された景色だからこそ、歩くほどに気持ちが整っていく感覚があります。観光地というより、日常の延長線上にある散策路。その穏やかさが、この長島川の遊歩道の最大の魅力なのかもしれません。
長島城跡――案内板の向こうに広がる歴史
川沿いを15分ほど歩くと、「長島城跡」と書かれた案内板が見えてきます。

ただし、現在この一帯は長島中部小学校・長島中学校の敷地として利用されており、城跡内部へ立ち入ることはできませんでした。フェンス越しに眺める形にはなりましたが、それでもかつてここに城があったという事実は、十分に想像力を刺激してくれます。
長島城(伊勢長島城)は、中世から戦国時代にかけて重要な拠点でした。
1245年、藤原道家によって築かれた館が始まりとされ、その後は伊藤氏などが支配。やがて本願寺勢力の拠点となり、戦国史の表舞台へと登場します。
特に知られているのが、1570年から1574年にかけて起こった「長島一向一揆」です。浄土真宗の信徒を中心とした門徒たちが武装蜂起し、自治的な勢力として大きな力を持ちました。
織田信長は三度にわたって攻撃を仕掛け、激しい戦いの末に落城。その後は滝川一益をはじめ、信長・信雄・秀吉配下の武将たちが城主としてこの地を治めました。
わずかに残る石垣や堀跡の痕跡を外から眺めながら、学校の校舎越しに過去の情景を思い描く――そんな時間も、この散策旅ならではの味わいです。
又木茶屋――庭園に包まれる昼下がり
長島城跡を後にし、再び長島川の遊歩道を進むこと約5分。

次の目的地、和風レストラン「又木茶屋(またぎちゃや)」に到着しました。
又木茶屋は、郷土の画家・佐藤昌胤画伯の旧宅をリニューアルした和風レストラン兼カフェです。国道1号線沿いにありながら、一歩敷地に足を踏み入れると、緑に包まれた静かな庭園が広がります。
もともとは情報交流施設として使われていた建物で、2018年に和風レストランとして再オープンしたそうです。
庭を抜けて店内へ入ると、和の落ち着いた空間が迎えてくれました。大きな窓越しに庭を眺められる席もあり、外の景色と室内がゆるやかにつながっています。

営業時間は朝7時から14時頃まで。この日はぎりぎりランチタイムに間に合い、お刺身定食を注文しました。
価格は700円。正直、驚くほど良心的です。

新鮮なお刺身に加え、れんこんやかぼちゃの煮物、卵料理、汁物まで付いており、品数も十分。派手さはありませんが、丁寧に作られた味が体にすっと染み込んでくるようでした。
観光地価格とは無縁の、地域に根付いた食事処だからこそ味わえる満足感。庭を眺めながらゆっくりと箸を進める時間は、歩き疲れた体と心をやさしくほぐしてくれました。
長島水辺のやすらぎパーク――時を留める場所
食後は、いよいよ最終目的地へ。
又木茶屋から歩いて5分ほどで、「長島水辺のやすらぎパーク」に到着します。
このパークは、長島川沿いに整備された観光・休憩施設で、江戸時代末期から明治にかけて建てられた旧久我邸を中心に構成されています。長島藩で重職を務めた久我家の屋敷を保存・改修したもので、見学は無料です。
なかでも見どころは、明治12年(1879年)築の旧久我邸。
建物に足を踏み入れると、板張りの廊下や和室が当時のまま残されており、現代の時間の流れから切り離されたような感覚を覚えます。派手な展示はありませんが、柱や建具の佇まいから、かつての暮らしの気配が静かに伝わってきました。
縁側に腰を下ろし、川の流れを眺めていると、不思議と心が落ち着きます。散策の途中に立ち寄る休憩場所として、これ以上ない贅沢な空間だと感じました。
園内には牡丹園もあり、春には約17種類・240株もの牡丹が咲き誇るそうです。しかし、この日は10月。花の季節は過ぎ、庭園は静けさに包まれていました。
それでも、葉を落とし始めた木々と澄んだ空気が、秋ならではの風情を醸し出しており、「次は春に訪れてみたい」と自然に思わせてくれる場所でした。
今回の旅は、地域の歴史や文化、人々の暮らしが静かに息づく長島町の一面に出会う時間となりました。
住所 / 地図
〒511-1126 三重県桑名市長島町又木117−3















































