ミシガンクルーズの旅(後編)――成瀬が教えてくれた、琵琶湖の楽しみ方 ( 滋賀県大津市の旅 : 2025-11-01 )

 

大津港・ミシガンクルーズ(滋賀県大津市)

琵琶湖へと踏み出す瞬間

桟橋へ向かうと、すでにデッキには乗船を待つ人たちの列ができていました。

観光客のグループ、家族連れ、カップル、そして一人旅らしき方まで、その顔ぶれは実にさまざまです。同じ船に乗りながら、それぞれが違う時間や思いを胸に抱えているのだと思うと、出航前から旅の空気が静かに高まっていきます。

 

列が整うと、スタッフの方から乗船前の説明がありました。足元の段差に注意すること、デッキでの過ごし方、航行中の注意事項。そして最後に、「まもなくミシガン90、出航します」というひと言。その声を聞いた瞬間、日常から少しだけ距離ができた気がしました。ほんの90分間とはいえ、湖の上に身を置くという非日常への入口に立ったような感覚です。

間近で見るミシガンの姿は、想像以上の迫力がありました。白い船体に赤い外輪、どこかクラシカルで、それでいて堂々とした佇まい。ワクワクしながら順番に船内へと進み、タラップを渡ります。

懐かしさを感じる船内と、外せないデッキ

船内に足を踏み入れると、木の質感が残る床や手すり、どこか懐かしさを感じさせる装飾が迎えてくれました。新しさよりも、長い時間を重ねてきたからこその落ち着きがあり、船そのものが物語を抱えているようです。

まず向かったのは、やはり上のデッキ。ミシガンに乗ったからには、ここは外せません。デッキに出た瞬間、風が頬をなで、湖の匂いがはっきりと感じられました。水と空気が混ざり合った、湖特有のやわらかな香りです。

汽笛が鳴り、ミシガンはゆっくりと大津港を離れていきました。岸辺で手を振る人、公園を歩く人たちの姿が少しずつ遠ざかり、視界いっぱいに琵琶湖が広がっていきます。南湖は想像以上に開けていて、思わず「海みたいだな」と心の中でつぶやいていました。「湖に浮かんでいる」という感覚が、ここまで強く意識されるとは思っていませんでした。

湖上から眺める、いつもと違う風景

船内ではオープニングイベントが始まっているようで、楽しげな声や音楽がかすかに聞こえてきます。それをBGM代わりにしながら、しばらくはデッキで景色を堪能することにしました。

ちょうどこの日はボートレースが開催されており、湖上を疾走するボートの姿を船内から眺めることができました。観戦席ではなく、湖の上から見るレースというのは不思議な光景です。同じ水面の上にいながら、スピードと静けさが同時に存在しているように感じられました。

しばらくして、船尾へと移動します。小説『成瀬は天下を取りに行く』で、成瀬あかりが西浦くんたちに説明していた、あの赤い外輪です。

実際に目の前で見ると、その迫力は想像以上でした。激しく回転する外輪が湖水をかき混ぜ、白い泡を立てていきます。確かに、これは近づきすぎると危ない。成瀬さんが少し距離を取って眺めていた理由が、よくわかります。私も同じく、少し遠目からその様子を眺めました。

船内散策と、湖上ランチ

船内をぐるりと一周見学した後は、船内カフェ「MICHIGAN BAR」へ。ちょうどお腹も空いてきたところでした。

購入したのは、ミシガンドッグのポテト&ドリンクセット。お値段は1,200円と、決して安くはありませんが、出てきたホットドッグとポテトはどちらもボリューム十分。何より、この景色と一緒に味わえることを考えると、不思議と納得感があります。

デッキに出て、琵琶湖を眺めながらいただくホットドッグ。風に吹かれ、湖面がきらきらと光るのを見つめながら食べると、いつも以上においしく感じられました。食事もまた、旅の大切な要素なのだと改めて実感します。

気がつけば、乗船してからすでに1時間ほどが経過していました。時間は驚くほど早く過ぎていきます。

ミシガンシンガーのショーと、心に残る一曲

12時5分からは、3階のステージへ。ミシガンシンガーによるミュージカルショーが始まります。

ミュージカルの名曲やディズニー映画の楽曲、そしてミシガンオリジナル曲まで、バラエティ豊かな内容。観客を巻き込んだ演出や、軽妙なトークもあり、会場は終始あたたかな雰囲気に包まれていました。クルーズ船の中とは思えないほど、本格的なステージです。

特に印象的だったのが、ミシガンオリジナル曲「君を待ってる」。ミシガンクルーズの景色や旅の時間を背景に、大切な人とまた会える日を思い描きながら待つ気持ちを歌った、優しいバラードです。

Aメロの駆け上がるような階調、ハモリを活かしたサビの心温まるメロディ。湖上を進む船と、ゆっくり流れる時間、そのすべてがこの曲と重なり合い、胸の奥に静かに響いてきました。クルーズの終盤にふさわしい、余韻の残る一曲だったと思います。

ショーが終わる頃、船内アナウンスが入り、まもなく大津港に到着することが告げられました。

また戻ってきたいと思える場所

デッキに出ると、見慣れた港の風景が再び近づいてきます。ほんの90分前に出航したばかりなのに、どこか遠くから帰ってきたような、不思議な感覚がありました。

2025年は、これまで以上にいろいろな場所を旅しました。その中でも、このミシガンクルーズは、個人的に最も心に残る体験のひとつです。派手な観光というよりも、時間の流れそのものを味わう旅。だからこそ、強く印象に残ったのかもしれません。

また季節を変えて、今度は違う表情の琵琶湖を見に来たい。そう素直に思えるクルーズでした。

この後は、大津港のすぐ隣にある浜大津アーカスを見学しました。それについては、次のブログをお楽しみに。

地図

〒520-0047 滋賀県大津市浜大津5丁目1−1

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