秋の光に溶ける、岡崎市東公園紅葉まつり (愛知県岡崎市の旅 : 2025-11-29)

 

岡崎市東公園(愛知県岡崎市)

2025年11月29日。 旧本多忠次邸の静かな洋館で、昭和の美意識と「景色と共に暮らす」という家主の想いに触れた後、私はそのまま東公園の奥へと足を進めました。玄関口である邸宅の静謐な空気とは打って変わり、公園内は「東公園紅葉まつり」の活気に満ち、鮮やかな秋の色に支配されていました。

今回は、その圧倒的な色彩美と、日本庭園のような風情が息づく公園内の様子を詳しくお届けします。

旧本多忠次邸から始める岡崎市東公園散歩。名将の末裔が建てた光溢れる洋館へ (愛知県岡崎市の旅 : 2025-11-29)

岡崎市民の宝物。100年を超える歴史が育んだ「東公園」

ここで、改めてこの公園についてご紹介しましょう。

岡崎市東公園は、明治期にまでそのルーツを遡る、非常に歴史のある都市公園です。広さは約27ヘクタール。これは東京ドーム約6個分に相当する広大な敷地で、その中に歴史的建造物、そして無料で楽しめる動物園、等身大の恐竜モニュメント、さらに3つの大きな池が点在しています。

かつてこの地は、市民の憩いの場としてだけでなく、豊かな自然を活かした景勝地として育まれてきました。特に昭和初期から戦後にかけて、岡崎市の近代化とともに整備が進み、単なる公園以上の「文化の拠点」としての役割を担ってきたのです。

春には桜、初夏には花菖蒲、そして秋には紅葉。四季折々の花々が咲き誇るこの公園は、岡崎市民にとっては、幼少期から大人になっても通い続ける「心のふるさと」のような場所。訪れる人々を包み込むような包容力があるのは、長い年月をかけて地域に根付き、愛されてきた歴史の重みがあるからこそなのでしょう。

「東公園紅葉まつり」の熱気に包まれて

私が訪れた日は、ちょうど「東公園紅葉まつり」の開催期間中。

ちょうど紅葉がピークを迎えたこの時期、木々は一年で最も艶やかな姿を見せてくれます。私はまず、紅葉が最も美しく映えるといわれる「西エリア」の池周辺へと向かいました。

1. 紅葉の色を映し出す「赤みを帯びた水面」の情景

池のほとりに立った瞬間、視界のすべてが秋のトーンに染まりました。そこには、ただ木々が色づいているだけではない、水と植物が一体となった独特の風情が広がっています。

秋色に染まる水面

池の周囲を囲む真っ赤なモミジ。その鮮烈な色彩は、空からの光を受けて水面へと溶け込んでいます。はっきりとした鏡のような反射ではなく、水面がじわりと赤みを帯び、まるで絵の具を溶かしたかのような深い色合いを見せていました。

池の淵にせり出すようにして枝を伸ばすモミジの影が、穏やかな水面に重なり、水そのものが秋の熱を帯びているかのようです。

揺らぎの中に感じる秋の深まり

時折吹く微風に水面が揺れるたび、その「赤み」は複雑に混ざり合い、抽象画のような表情を見せます。実体のモミジが放つ力強い朱色と、水が受け止めた柔らかな赤。このコントラストが、公園全体の色彩をより一層深く、情緒豊かなものにしていました。

この、水面が色を帯びる現象は、その場所の植生の密度と光の角度が奇跡的に重なった時にしか見られないものです。静かに水を湛える池が、秋という季節を静かに、けれど雄弁に物語っているかのようでした。

2. 景観を彩る「灯籠」と「橋」の情緒

池周辺の散策を続けていると、東公園が持つ「造園の妙」に改めて気づかされます。ここでは、紅葉の美しさを引き立てるための名脇役たちが、完璧な配置で存在感を放っています。

石灯籠が添える和の静寂

散策路の要所要所に配置された石灯籠。これらは、時を経てうっすらと苔を纏い、周囲の風景に歴史の重みを添えています。 燃え上がるような紅葉の赤に対して、石灯籠の落ち着いた灰色は、視覚的な「余白」としての役割を果たしています。

灯籠の笠にひらりと舞い落ちたモミジの葉、あるいは灯籠の陰から覗く真っ赤な枝。その一つひとつが、計算された美学に基づいてそこに置かれているかのように感じられます。灯籠の陰影が紅葉の色をより深く見せ、まるで京都の古刹を歩いているかのような錯覚さえ覚えるほど、その佇まいは凛としていました。

橋が繋ぐ、物語のある景色

池にはいくつか橋が架けられていますが、この橋こそが、景観をドラマチックに変える最大の要素です。 橋の上に立ち、欄干越しに眺める景色は、地上から見るのとはまた違った広がりを持っています。朱色の欄干が紅葉の赤と同化し、一つの完成された世界観を作り上げている場所もあれば、石造りの質素な橋が周囲の鮮やかさを引き締めている場所もあります。

橋を渡るという行為が、景色を切り替えるスイッチのように働き、一歩進むごとに新しい視点での「紅葉と水の風景」を提示してくれるのです。橋の上から赤みを帯びた池を見下ろせば、ゆっくりと水面に落ちた一枚の葉が、静かに秋を運んでいるのが見えます。そんな何気ない一瞬も、この灯籠や橋と調和した景観の中では、特別な物語の一部のように感じられました。

公園内を散策する予定が、いきなりこれほど貴重な建物や、心震える絶景に出会えるとは。旅のスタートで訪れた白鳥神社での祈願が、さっそく最高の結果として返ってきたような、そんな清々しい気持ちです。

さて、紅葉の美しさに心を奪われましたが、東公園の魅力はこれだけではありません。 次回のブログでは、紅葉の森に突如として現れる「あの巨大な存在」と、市民に愛される動物たちの様子をお届けします。

秋の東公園、散策はまだまだ終わりません。

地図

〒444-0011 愛知県岡崎市欠町大山田1番地

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