変貌する名古屋湾岸──新しく生まれ変わった「ポートメッセなごや」を歩く(名古屋市港区の旅:2025-04-09 )
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ポートメッセなごや / ものづくりワールド名古屋
名古屋駅からあおなみ線に揺られ、終点・金城ふ頭駅で下車すると、懐かしくもあり、どこか新鮮な空気を感じた。
この日は、「ものづくりワールド名古屋2025」への参加が目的だったが、個人的にはもうひとつ楽しみにしていたことがある。
それは、2022年10月1日に新たにオープンしたポートメッセなごやの新施設をじっくり歩いてみることだった。
ポートメッセなごやといえば、以前は第2展示館、第3展示館、そして独特なフォルムが印象的だった円形の展示ホールで知られていた。
音楽イベントで何度も訪れた思い出の場所でもあり、その光景が記憶の中にしっかりと刻まれている。
ところが、久々に訪れてみると、そこはまるで別世界。建物の配置も、規模も、そして空気感までもが、まったく違っていた。
まず目を引くのが、金城ふ頭駅から歩行者デッキでつながる新しい第1展示館。
駅からほとんど雨にも濡れずにアクセスできる動線の良さは、展示会参加者にとって非常にありがたいポイントだ。
建物の外観は、滑らかな曲線が美しい近未来的なフォルムで、一見すると展示施設というよりは美術館や空港ターミナルのようにも見える。
白とガラスのコントラストが港の空とよく調和していて、遠くから見ても圧倒的な存在感を放っていた。
この新・第1展示館は、展示面積が2万㎡、天井高はなんと20m。
中に入ると、その広さと開放感に息を呑む。
まさに“空間が語りかけてくる”という表現がふさわしい。
これまでのポートメッセでは感じたことのないスケール感と洗練された設計思想が、空間全体に広がっていた。
歩くだけで楽しく、視線を上げれば天井の構造美に目を奪われる。展示内容そっちのけで、建築そのものをじっくり眺めたくなる場所だった。
続いて、建物群の中心に位置するコンベンションセンターへと足を運ぶ。
第1展示館と第3展示館のちょうど中間にあり、その立地はまさに“ハブ”のような存在。
ダイナミックな外観デザインが特徴で、ガラス張りのファサードと角度のある屋根のラインが印象的だ。
この日は展示には使われていなかったが、大規模なレストランとして開放されており、来場者の憩いの場になっていた。
天井の高い空間に響く人々の声、行き交う来場者の賑わい。
コンベンションセンターという名前にふさわしい、活気と柔軟性のある施設だった。
ちなみにこの建物には、1,000㎡と300㎡の2つのホールがあり、それぞれ4分割可能とのこと。
会議やイベント、パーティーまで、多目的な活用が可能で、今後は展示会の枠を超えて、様々な用途で活躍するだろうと感じた。
見た目のデザインだけでなく、実用性という面でも非常に優れた設計だ。
思い返せば、かつてのポートメッセなごやは、やや年季の入った建屋が並び、どこか懐かしさ漂う展示場だった。
円形の展示館も個性的ではあったが、現代的な使いやすさという点では課題も多かった。
だからこそ、今回の再開発により、名実ともに“生まれ変わった”姿を目の当たりにして、驚きと同時に少しの寂しさも覚えた。
とはいえ、建物が新しくなることで、人も、まちも、新たな可能性を得ていく。
そんな前向きなエネルギーを、この空間全体から強く感じた。
名古屋湾岸エリアがこれからますます国際的な交流拠点へと進化していくであろう未来を予感させる一日だった。
今回の旅は、ただの「展示会訪問」ではなく、ポートメッセなごやという空間の変化と、その背景にあるまちづくりの思想に触れる時間でもありました。
◆地図・アクセス
〒455-0848 愛知県名古屋市港区金城ふ頭3丁目2−1