小牧の文化に触れる夏の一日 ― メナード美術館「えともじ展」訪問記 ( 愛知県小牧市の旅 : 2025-08-09 )
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メナード美術館「えともじ展」 / 日本料理店「有楽」 (愛知県瀬戸市)
お盆連休の初日。
今回は愛知県小牧市の中心部をゆったり散策してきました。旅のスタートは、名鉄小牧線の小牧駅。駅の周辺は何度も訪れている場所ですが、考えてみればじっくり歩くのは久しぶり。前回、小牧駅に降り立ったのは、2023年5月にリニューアルオープンした「小牧山城・れきしるこまき」を訪れたときでした。それからおよそ2年。あのときは歴史にどっぷり浸かった一日でしたが、今回は芸術を味わう日です。
メナード美術館へ向かう
駅から歩き出し、ほどなくして小牧山城方面に向かう道に入ります。通りを歩くと、前から気になっていた建物が見えてきます。そう、今回の目的地「メナード美術館」です。
実は小牧山城や駅前図書館には何度も足を運んできましたが、この美術館にはまだ一度も入ったことがありませんでした。外観から漂う静謐な雰囲気が、以前から心に引っかかっていたのです。
今回、美術館では「えともじ展」が開催中。展示案内を読むと、「美術を取り巻くさまざまな文字からコレクションを読み解く」というテーマとのこと。絵画や彫刻、工芸などに隠れる文字の要素を取り上げた約70点の作品が並び、さらに箱や軸など付属品にも注目しているそうです。国内外の名品が一堂に会するとのことで、期待が高まります。
「えともじ展」鑑賞
館内に入ると、静かで落ち着いた空気に包まれました。作品同士の間隔も広く取られており、一つひとつをじっくり眺めることができます。
展示は、「文字が主役になった作品」「装飾や背景に文字が隠れている作品」「書と絵が融合した作品」など、多彩な切り口で構成されていました。
中でも印象的だったのは、葛飾北斎の娘である葛飾応為による《夜桜美人図》。短冊に筆を走らせ、今まさに歌を詠もうとする女性の姿が描かれています。背景の夜桜が幻想的で、女性の手元にある文字が、ただの情報ではなく情感そのものを伝えてくるようでした。
そして、ジョアン・ミロの《女と鳥》。日本の書から影響を受けたというミロらしく、墨を垂らしたような自由な線が画面を走ります。抽象的でありながら、どこか文字のリズムを感じさせる不思議な作品。海外のアーティストが日本の文字文化に触発されると、こんなにもユニークな形になるのかと驚かされました。
他にも、漢字やひらがながモチーフとして大胆に取り入れられた現代アートや、装飾品や掛け軸の端に控えめに記された銘文など、「文字」を探す目線で作品を巡ると、普段とはまったく違う発見があります。鑑賞しながら、「あ、ここにも!」と小さな文字を見つける瞬間が楽しいのです。
美術館を後にして
余韻に浸りながら美術館を出ると、お隣の公民館が目に入りました。入口を覗くと、なんとプラネタリウムがあるではありませんか。ここにこんな施設があったとは知りませんでした。小牧は歴史だけでなく、文化施設も充実していることを改めて感じます。
そこから小牧山史跡公園の方へ歩き、正面にあるMEGAドン・キホーテへ。かつてはUNYだった場所で、小牧山城見学の後によく立ち寄っていました。MEGAドンキになってからは品揃えが一変し、所狭しと物が並ぶ独特の賑やかさ。正直、以前のUNYの落ち着いた雰囲気の方が好きだったなぁと思いつつも、つい店内をひと回りしてしまいます。
新スポット「こまき山イーストパーク」
その後は小牧山史跡公園内の「れきしるこまき」でひと休み。
冷房の効いた館内で涼みながら、先ほど見た美術館の作品を思い返します。少し歩き足りない気分になり、公園内をぐるりと散策していると、見慣れない施設が現れました。
近づいてみると、その名も「こまき山イーストパーク」。
小牧山をモチーフにした小さなお山があり、隣には星乃珈琲店。調べてみると、今年2025年5月31日にオープンしたばかりとのこと。そういえば2年前に来たときは工事中だった記憶があります。
この日は夏日で人影は少なかったものの、広場やイベントスペースがあり、春や秋は賑わいそうな予感。小牧の新しいランドマークになるかもしれません。
旅の締めは「有楽」のお刺身御膳
駅方面へ戻る途中、香ばしい匂いに足が止まります。昔から人気のたこ焼き店「ほていや」。今回はお腹の都合で見送り、香りだけいただきました。
そして、名鉄小牧ホテル2階にあるお気に入りの日本料理店「有楽」へ。
ここはホテルならではの上品な雰囲気と、安定感のある料理が魅力。今回はお刺身御膳を注文しました。運ばれてきたお刺身は、見た目の美しさもさることながら、ひと口で新鮮さがわかるほどの旨み。小牧の街歩きの締めくくりにふさわしい一品でした。
今回の小牧散策は、美術館から新しい公園まで、文化と街の変化を一度に味わえる一日でした。「えともじ展」で見た文字と美術の融合は、普段見慣れた文字の奥深さを再発見させてくれましたし、「こまき山イーストパーク」では街の新しい息吹を感じられました。小牧山城見学や駅周辺散策の際には、メナード美術館もぜひ立ち寄ってみてほしいスポットです。
地図・アクセス
〒485-0041 愛知県小牧市小牧5丁目250