野外民族博物館リトルワールド|13年ぶりの再訪、雪の静寂に包まれた世界一周の旅(前編)(愛知県犬山市の旅 : 2026-01-23)
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野外民族博物館リトルワールド
国宝・犬山城の登城を終え、歴史の余韻に浸りながら犬山駅へと戻ってきました。次なる目的地は、同じく犬山市に位置する「野外民族博物館リトルワールド」です。駅東口から名鉄バスに揺られること約20分。
到着したゲートの向こうには、日常を離れた広大な異世界が広がっていました。
リトルワールドを訪れるのは、実に13年ぶりのことです。かつての記憶を辿れば、トルコ館のオープンが大きな話題となり、テレビCMで流れる「伸びるトルコアイス」を目当てに、ゴールデンウィークの凄まじい混雑の中にいた思い出があります。
しかし、2026年1月23日のこの日は、しんしんと雪が舞い散る平日の午後。かつての喧騒が嘘のように、園内は驚くほどの静寂に包まれていました。社会見学と思われる小学生の団体こそ賑やかでしたが、彼らが集まる飲食店エリアを除けば、まるで広大な敷地を独り占めしているかのような贅沢な環境です。
興味深かったのは、園内を愛犬と一緒に散歩している地元の方々の姿です。観光客というよりも、日常の散歩コースとしてこの多国籍な空間を利用されているようで、閑散期におけるテーマパークの活用法として非常に素晴らしい策だと感じました。
さて、ここからは時計回りに園内を一周する旅をスタートさせます。全2回にわたる旅日記の前編として、韓国から南アフリカ、そして癒やしのどうぶつ広場までの道のりを綴っていきましょう。
■朝鮮王朝の威厳が息づく「韓国 地主の家」
入場ゲートを抜け、左手にある野外ホールを横目に進むと、最初に見えてくるのが「韓国 地主の家」です。ここは朝鮮王朝時代の上流階級の暮らしを再現した広大な邸宅。
瓦屋根が連なる木造建築の美しさはもちろん、広い中庭を囲むように配置された各部屋の構成からは、当時の家父長制に基づいた厳格な秩序と、主人の社会的地位の高さが雄弁に伝わってきます。華美な装飾を抑えた質実剛健な佇まいには、どこか凛とした威厳が漂っています。この日は女性の観光客が特に多く訪れており、伝統的な建築を背景に熱心に写真を撮る姿が印象的でした。
■タイの風土を感じる建築と味覚「ランナータイの家」
続いて現れるのは、タイ北部の伝統建築「ランナータイの家」です。高床式の構造は、湿気を逃がし、自然の風を家全体に巡らせるための先人の知恵。細やかな彫刻が施された木造の家屋は、南国の優雅さと素朴さが絶妙に同居しています。
すぐ近くにはタイ料理店「ラーチャプルック」があり、本格的なスパイスの香りが鼻をくすぐります。
ガパオライスやグリーンカレーといった定番メニューに加え、看板には「カレーパインミー」や「タイティー」の文字が。雪の降る景色の中で眺める南国のメニューは、視覚と味覚のギャップを刺激し、ついふらりと立ち寄りたくなるような親しみやすさがありました。
■イスタンブールの迷宮に誘われる「トルコ」
13年前の喧騒の記憶が蘇る「トルコ イスタンブールの街」エリア。石畳の道に面して建物が並ぶ様は、まさに異国情緒の極みです。
市場のような雰囲気の中で、今も変わらずトルコアイスが販売されていました。かつては大行列で諦めたあの味ですが、この日は行列もありません。とはいえ、この雪空の下でアイスを頬張る勇気は出ず、「次の暑い日に必ず」と心に決めて先を急ぎました。
特に目を引くのは、イスラーム寺院(モスク)の独特な建築美です。幾何学模様やドーム型の天井が織りなす空間は、見ているだけで心が落ち着きます。「こんな雰囲気の建物で暮らしてみたい」と、非日常的な空想に耽ってしまうほどの完成度です。
■穏やかな農村の空気が流れる「インド ケララ州の村」
さらに歩を進めると、南インドの「ケララ州の村」へとたどり着きます。水辺の景観やヤシの木が配置されたエリアは、これまでの華やかな街並みとは一転し、生活に根ざしたリアルな農村風景が広がっています。
地主の家など、家屋の内部を隅々まで見学できるのがリトルワールドの醍醐味です。隣接するレストラン「インド亭」からは食欲をそそるカレーの香りが漂ってきますが、午後のスケジュールを考え、ここは必死の思いで我慢。インドの素朴な暮らしの風景をじっくりと目に焼き付けました。
■圧巻の極彩色、魂を揺さぶる「ネパール 仏教寺院」
今回の園内散策で、私が最も感銘を受けたのが「ネパール 仏教寺院」です。メイン通りから少し離れた高台にあるため見逃しがちなスポットですが、ここは絶対に訪れるべき場所です。
ヒマラヤのタキシンド村にあるチベット仏教寺院をモデルに、現地から大工や絵師を招聘して復元されたという建物は、まさに本物の迫力。
特に本堂内部を埋め尽くす極彩色のマンダラや仏画は圧巻です。10名の絵師が1年以上をかけて描き上げたというこれらの芸術は、天然絵具ならではの深みのある発色を放ち、悟りの境地を視覚的に表現しています。
屋外に配置されたチョルテン(仏塔)やマニ輪、マニ垣も素晴らしい。マニ輪を時計回りに回せば経文を読んだことと同じ功徳があるとされ、文字を読めない信者にも開かれた信仰の形に深く共感しました。マニ垣を右手に見ながら進み、静寂の中で徳を積むひとときは、今回の旅の中でも特に神聖で満ち足りた時間となりました。
■アフリカの大地が生んだ造形美と多様な住まい
ネパールの神聖な空気を後にして、旅はアフリカ大陸へと向かいます。
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西アフリカ カッセーナの家: 土壁に描かれた幾何学模様の装飾が、巨大なキャンバスのように広がっています。迷路のように入り組んだ構造は、子供ならずとも「かくれんぼをしたい」という探検心をくすぐるスケール感です。
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アフリカンプラザ: 飲食店が集まるこのエリアは、小学生たちの元気な声で溢れていました。アフリカならではの軽食を楽しみながら、開放的な空気が味わえる憩いの場です。
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南アフリカ ンデベレの家: とにかく鮮やか!壁一面に施されたカラフルなペイントは、伝統文化と現代アートが融合したような美しさです。雪の白さの中でその彩りはいっそう際立ち、最高のシャッターチャンスを提供してくれました。
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タンザニア ニャキュウサの家: 円形の建物に自然素材をふんだんに使った住居。素朴な造りの中には、厳しい自然環境と共に生きる知恵が凝縮されています。
■遊牧の知恵が集結する「テント村」と癒やしの「どうぶつ広場」
アフリカエリアの先には、世界各地の移動式住居を集めた「テント村」が広がります。シリアの黒いテントから、モンゴルのゲル、北欧のサーミのテントまで。それぞれの風土に適応した「住まいの原点」を一度に見比べられるのは、まさに博物館ならではの贅沢な体験です。
前半旅の締めくくりには「どうぶつ広場」へ。雪の中で佇むリャマののんびりとした表情に、歩き疲れた体がふっと軽くなるような癒やしをもらいました。
朝から犬山城を攻め、午後からは世界一周の半分を走破。歩数計の数字も着実に伸び、心地よい疲労感が全身を包みます。しかし、リトルワールドの旅はまだ半分。後半にはドイツやフランスといったヨーロッパの街並みが待ち構えています。
冬の静寂の中で出会った世界の息吹。その続きは、次回のブログでお届けします。どうぞお楽しみに。
地図:野外民族博物館リトルワールド
データ
所在地:〒484-0005 愛知県犬山市今井成沢90−48


































































