リトルワールド・ドイツ・バイエルン州の村とペルー大農園領主の家を巡る|13年ぶりの再訪、雪の日の世界一周(後編)(愛知県犬山市の旅 : 2026-01-23)
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野外民族博物館リトルワールド
2026年1月23日。みぞれ雪が舞う幻想的な風景の中、13年ぶりに訪れた「野外民族博物館リトルワールド」の旅も後半戦に突入です。前編ではアジアからアフリカ、そして癒やしの動物たちとの出会いを綴りましたが、後編ではいよいよヨーロッパの美しい街並みから、南米、そしてアジアへと戻る壮大なルートをご紹介します。
野外民族博物館リトルワールド|13年ぶりの再訪、雪の静寂に包まれた世界一周の旅(前編)(愛知県犬山市の旅 : 2026-01-23)
今回の散策で改めて感じたのは、冬の平日の贅沢さです。時折、社会見学の小学生たちの元気な声が響くものの、それ以外は驚くほどの静寂。この静けさが、各エリアの建築美や歴史的背景をより深く、じっくりと味わわせてくれました。
■絵本の世界が現実に「イタリア アルベロベッロの家」
アフリカエリアを抜け、次に見えてきたのは南イタリア・プーリア州の風景です。世界遺産としても有名なアルベロベッロの「トゥルッリ」と呼ばれる石造家屋が再現されています。
白い漆喰の壁に、灰色の平らな石を円錐形に積み上げた屋根。その独特のフォルムが雪の色と相まって、まるで北欧の童話の世界に迷い込んだかのような錯覚を覚えます。この建築の驚くべき点は、釘や接着剤を一切使わずに石を積み上げているという、古代から受け継がれた知恵の結晶であることです。
内部に入ると、厚い石壁が外の喧騒(といってもこの日は風の音くらいですが)を遮断し、ひんやりとした、それでいて包み込まれるような独特の空気感が漂っていました。機能的に区切られた室内の様子からは、当時の人々の素朴で丁寧な暮らしぶりが伝わってきます。私はこの、こぢんまりとしながらも温かみのあるイタリアの空間がとても好きです。
エリア内にはパスタやピザ、そして具だくさんのミネストローネを楽しめるお店もあり、香ばしい匂いが漂っていました。今回は先を急ぐため我慢しましたが、あの匂いの中を通り過ぎるのは、旅人にとって一種の修行のような時間でした。
■木組みの美しさに魅了される「フランス アルザス地方の家」
イタリアを後にし、次に向かったのはフランス東部、ドイツとの国境に近いアルザス地方のエリアです。
ここで目を引くのは「コロンバージュ」と呼ばれる伝統的な木骨組みの建築。カラフルな外壁に幾何学的な木の模様が美しく映え、窓辺の装飾と相まって非常に華やかな雰囲気を醸し出しています。木材を多用したこのスタイルは、どこか日本の伝統建築にも通ずる安心感があり、「いつかこんな家に住んでみたい」と憧れを抱かせる魅力があります。
2025年3月15日にリニューアルオープンしたばかりのクレープとガレットのお店「アルザス」の前には、多くの学生たちが集まり、賑やかな笑い声が溢れていました。最新のスポットと伝統的な農村の風景が共存する、リトルワールドの「今」を感じさせる場所です。
■心奪われるメルヘンの世界「ドイツ バイエルン州の村」
そして、私が今回のリトルワールド再訪で最も魅了されたのが、この「ドイツ バイエルン州の村」です。アルプスの麓に広がる、のどかなバイエルン地方の情景が見事に復元されています。
村の中心には「聖ヨセフの泉」があり、それを囲むように建つフレスコ画の外壁を持つ民家が、見る者を圧倒します。特に、街道沿いの商家をモデルにした「メルヘンバルト(メルヘンの森)」の壁画は、うっとりするほどの美しさです。 壁一面に描かれたグリム童話「いばら姫」や「幸せのハンス」の物語。雪空の下で見るその色鮮やかな絵は、まるで時間が止まったかのような不思議な感覚を私に与えてくれました。
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玩具展示室: 1階の民芸品店を抜け2階へ上がると、ドイツが誇る玩具の数々が。木工細工やぬいぐるみ、精巧な鉄道模型など、大人の好奇心もくすぐる素晴らしい展示です。
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ガストホフバイエルン: 1階は本格的なドイツ料理レストラン。2階の民族展示室では、1950年代の生活道具を通じて当時のリアルな暮らしを追体験できます。
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聖ゲオルグ礼拝堂: 村の奥の小高い丘に建つこの礼拝堂は、バロック初期の建築様式。内部の天井画には聖母マリアやキリストが描かれ、荘厳な空気に包まれています。許されるなら、ここで静かに時間を忘れて過ごしたい――そう思わせるほど、心癒される空間でした。
■海洋民族の知恵と祈り「ポリネシア・ミクロネシア・インドネシア」
ヨーロッパの余韻を胸に、旅は南太平洋から東南アジアへと移ります。
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サモアの家(ファレ): 壁がほとんどなく、柱と屋根だけで構成された開放的な造り。高温多湿な気候に適応した、自然と共生する暮らしの原点が見て取れます。
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ヤップ島の家: 石貨(ストーンマネー)文化で知られる島の伝統家屋。集落の結束を感じさせる力強い構造が印象的です。
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トバ・バタックの家(インドネシア): 船の形を模した、大きく反り上がった屋根が圧巻です。高床式で家畜と共生する合理的な設計に、バタック族の誇りと信仰を感じます。
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バリ島貴族の家: ヒンドゥー教の精神文化が息づく、神聖で優雅な空間。石造門をくぐり、庭園のように配置された建物群を歩くと、バリ特有の深い静寂に引き込まれます。
ここでもインドネシア料理店「ワルンバリ」の香辛料の香りに誘惑されましたが、今回もグッと堪えて次なる目的地へ向かいました。
■歴史の光と影を映す「ペルー 大農園領主の家」
ドイツと並んで、今回の旅で特に印象に残ったのが、南米ペルーの「大農園(アシエンダ)領主の家」です。
丘の上に建つ白壁の邸宅。中庭を囲むスペイン・コロニアル様式の構造は、非常に広々としており、かつての支配階級の圧倒的な豊かさを物語っています。
敷地内にはカトリックの礼拝堂もあり、信仰と統治が密接に関わっていたことが分かります。 一方で、この豪華な生活の背景には、植民地時代における先住民や黒人の方々の過酷な労働があったという歴史的側面も忘れてはなりません。美しい建築を通して、世界の歴史の複雑さに思いを馳せる、非常に意義深い展示でした。
ここでは衣装レンタルを楽しむ学生たちの姿も多く、色鮮やかなポンチョに身を包んだ彼らが、白い壁を背景に楽しそうに過ごしている様子は、今のリトルワールドの平和な光景そのものでした。
■アラスカから台湾、そして旅の締めくくりへ
旅も終盤。アラスカの「トリンギットの家」では、雪の中に立つ巨大なトーテムポールが、部族の神話や歴史を無言で語りかけてきます。
そして最後は「台湾 農家」。赤レンガの温かみと、中庭を中心とした家族の繋がりを感じさせる空間。置かれた農具の一つひとつに、どこか日本の農村とも共通する懐かしさを覚え、世界一周の旅が終わりを迎えつつあることを実感しました。
■余韻を持ち帰る「リトルワールドバザール&ミュージアムショップ」
一周を終え、最後は入口近くのショップエリアへ。
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リトルワールドバザール: まさに「世界の市場」。アクセサリーや民芸品が所狭しと並び、それぞれの国の個性が爆発しています。見ているだけで世界旅行の続きをしている気分になれる、魅惑のスポットです。
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ミュージアムショップ: こちらはオリジナルグッズや書籍が充実。今日一日で興味を持った文化をより深く知るためのアイテムが揃っており、旅の余韻を自宅まで持ち帰るのに最適です。
みぞれ雪が降り続く、1月の極寒。しかし、一歩踏み出すごとに新しい文化に出会い、歴史を学び、建築の美しさに触れることで、寒さを忘れるほど熱中した一日でした。
13年ぶりのリトルワールドは、以前のような大混雑こそありませんでしたが、その分、一つひとつの施設が持つ「声」をしっかりと聞くことができたように思います。今回は見学を優先しましたが、次回はぜひ、各国のグルメを網羅する「食べ歩きの旅」として訪れたいと思います。
犬山城から始まり、世界一周を遂げた今回の旅ブログ。 また次の旅先で、お会いしましょう。
地図:野外民族博物館リトルワールド
データ
所在地:〒484-0005 愛知県犬山市今井成沢90−48





































































