旅の終わりに、心ほどけるひとときを ― 趣美庵 / 瑞宝軒(三重県亀山市の旅:2025-04-12)

 

趣美庵 / 亀山市立図書館 / 瑞宝軒(三重県亀山市)

住宅街にたたずむ癒しの空間「趣美庵」でひと息

亀山宿の散策を終え、京口門跡から亀山駅方面へと戻る途中、ふと足を止めた住宅街の一角に、小さな看板と和の趣を感じる佇まいのカフェを見つけました。

「趣美庵(しゅびあん)」というそのお店は、地元の方々に愛されている様子が外からも伝わってくる、落ち着きのある空間。

大通りから少し入った場所にあるため、まさに“隠れ家”という表現がぴったりです。

扉を開けると、木のぬくもりが感じられる店内に、やさしい時間が流れていました。

カウンター越しにはご年配の女性が丁寧にコーヒーを淹れていて、その姿にほっと安心するような気持ちに。

常連さんらしきお客さんが数人、のんびりと談笑している様子も微笑ましく、まるで誰かの家にお邪魔したかのようなアットホームさを感じました。

私は、アイスコーヒーと温かいぜんざいを注文。

アイスコーヒーはスッキリとした苦味が心地よく、歩き疲れた身体に染み渡るよう。

ぜんざいは、やさしい甘さで、ひと口食べるたびに気持ちがほぐれていくようでした。

店内には地元作家さんによる手作りの雑貨が販売されていて、それらが飾られることで、空間全体に温もりと個性が加わり、まるでちいさなギャラリーのようでもありました。

ここで過ごす時間は、まさに「旅の途中のご褒美」と言えるような、静かな癒しのひとときでした。

 


図書館という旅の静寂 ― Kitto terrace KAMEYAMA

しばし心を整えたあとは、亀山駅のすぐ北側にある「Kitto terrace KAMEYAMA」へ。

施設内にある亀山市立図書館を訪れました。

建物はモダンで開放的なデザイン。

中に入ると、清潔で静かな空間が広がり、特に自習室エリアは、南側から差し込む自然光が明るく、机と椅子もゆったりと配置されていて、思わず長居したくなるほど。

旅の途中にこうした静かな読書時間が取れるのは、とても贅沢なことだと感じました。

ほんの30分ほどでしたが、持参していた文庫本の数ページを読み進め、心のなかにゆったりとした余白が生まれた気がしました。

旅先で出会った図書館での読書は、単なる移動の合間ではなく、旅の記憶の一部として心に残る時間でした。

 


お土産は、二種の龍乃掌バウムクーヘン

旅の締めくくりには、甘い楽しみを。

駅からほど近い場所にある「瑞宝軒」へと足を運びました。

ここはバウムクーヘンをはじめとした和洋菓子が評判のお店。

今回のお目当ては、人気商品の「龍乃掌(りゅうのしょう)カット」。

その名に込められた力強さとは裏腹に、繊細な味わいが特徴的な逸品です。

今回は2種類、「龍乃掌ハード 和紅茶亀山べにほまれ」と「龍乃掌ソフト 酒粕」を購入。帰宅後にいただきました。

まずハードタイプの「和紅茶亀山べにほまれ」。

外側は香ばしくサクッとした食感で、中はもっちり。口に運ぶと、亀山産の和紅茶の香りがふんわりと広がり、甘さも控えめで上品です。

外側の焼き加減と内側のもっちり感の対比が楽しく、バウムクーヘンの印象ががらりと変わるような驚きがありました。

一方で、ソフトタイプの「酒粕」は、しっとりとした生地のなかに、やさしい酒粕の香りがほんのり漂い、大人の味わい。

柔らかくふわっとほどけるような口当たりで、ついもうひと口、と手が伸びてしまいます。

どちらのタイプも、小麦粉は一切使用せず、伊勢神宮にも奉納される「結びの神」という一等米を自社で製粉して用いた米粉生地を使用しているとのこと。

卵も三重県産、鳥鹿養鶏園の「パイ・エッグ」という抗生物質不使用のこだわりの品を使用しているそうです。

素材の一つひとつに対する丁寧な姿勢が、しっかりと味にも表れているように感じました。

バウムクーヘンといえば、どこか均一なイメージを持っていましたが、今回の旅で「同じ材料でも、作り方と工夫でまったく異なる食感と風味が生まれる」ということを実感しました。次に亀山を訪れるときにも、きっとまたこの「龍乃掌」を買いに立ち寄るだろうなと、そう思わせてくれる味でした。

こうして、カフェでの穏やかな時間、図書館での読書、そしてスイーツで締めくくる旅の一日。

どこか慌ただしい毎日から少し離れて、心と身体がリセットされるような、そんな時間を過ごすことができました。

 

所在地

〒519-0155 三重県亀山市御幸町231

 

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