平和公園くらしの森:冬の静寂と里山の温もりに触れる初訪問記 (名古屋市千種区の旅 : 2026-01-24)
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平和公園くらしの森(名古屋市千種区)
名古屋の市街地にありながら、広大な面積を誇る平和公園。その北から南へと縦断し、東山動植物園へと抜けるルートは、私にとって数ヶ月に一度は歩きたくなる心のリセットコースです。しかし、何度もこの道を通りながらも、ずっと足を踏み入れる機会を逃していた場所がありました。
それが、平和公園の最南端、千種区役所にもほど近いエリアに位置する「平和公園くらしの森」です。
2026年1月24日、ようやくその「気になっていた場所」を初めて訪れる日がやってきました。今回は、冬ならではの研ぎ澄まされた空気感とともに、名古屋の地で守り続けられている里山の風景を紐解いていきます。
散策の始まり:光ケ丘から南への縦走
旅の起点は、基幹バスの停留所である「光ケ丘」付近です。ここから平和公園の広大な敷地へと入り、ひたすら南を目指して歩き始めます。
公園内を進むと、まず視界に入るのが「平和公園アクアタワー」。
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その独特なシルエットを横目に見ながら、西寄りのルートを選んでさらに奥へと進みます。しばらく歩くと、右手に静かに水をたたえる「猫ヶ洞池(ねこがほら池)」が見えてきました。水面のきらめきが、冬の低い日差しを反射して美しく輝いています。
そのまま進むと、家族連れなどで賑わう「メタセコイア広場」へ到着。高くそびえるメタセコイアの木々は、この時期、葉を落としきった繊細な枝振りを空に向けて広げています。広場を抜け、幹線道路である「平和公園線」にたどり着くと、その道沿いをさらに南下した左手に、目的の「平和公園くらしの森」が現れました。
拠点施設「里山の家」の佇まい
まず出迎えてくれたのは、このエリアの拠点となる施設「里山の家」です。
「里山の家」の建築と役割
建物は、木材をふんだんに使った温かみのある外観が特徴的で、周囲の自然環境に見事に溶け込んでいます。単なる休憩所ではなく、この地域の成り立ちや、かつての里山での暮らし、そして現在の環境保全活動を伝える「展示施設」としての側面も持っています。
館内に一歩足を踏み入れると、木の香りが心地よく漂い、パネル展示などを通じてこの地域の生態系について深く知ることができました。周辺に広がる雑木林を眺めていると、ここが大都市の只中であることを忘れ、かつての日本の農村風景にタイムスリップしたかのような穏やかな錯覚に陥ります。
湿地と「せせらぎ」の音を求めて
「里山の家」で地図を確認し、ここから約900メートル先にある「奥池(おくいけ)」を目指すことにしました。湿地沿いに整備された遊歩道は、冬という季節のおかげで非常に見通しが良くなっています。
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冬の森の表情: 多くの木々が葉を落としているため、地形の細かな起伏や、湿地がどこまで広がっているのかが手に取るように分かります。
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静寂の中の音: 虫の声や葉の擦れる音が少ない分、足元の落ち葉を踏みしめる音や、遠くを歩く人の気配が、より際立って聞こえてきます。
この日、私のほかに15人ほどの方々が散策を楽しんでいました。みなさん、静かに風景を楽しみながら、それぞれのペースで冬の森を味わっているようでした。
この散策路で特に印象的だったのが、途中で現れる「せせらぎ」です。 冬場は水量が控えめですが、その分、水の透明感は驚くほど高く、石の上を滑るように流れる様子が克明に見て取れます。耳を澄ませば、「さらさら」という繊細なリズムが静寂を切り裂くように響き、心に深く染み渡りました。この小さな水の動きこそが、冬の森における貴重な「生命の鼓動」のように感じられます。
奥池への到着と、不測の事態
やがてたどり着いた「奥池」は、ひっそりと静まり返った美しい場所でした。 ここからさらに南へ抜け、本来の散策コースへ戻る予定でしたが、現地では何やら工事が行われている様子。当初予定していたルートが塞がっていたため、潔く元来た道を引き返すことに決めました。
同じ道でも、戻り際に見る風景はまた新鮮です。光の差し込む角度が変わり、行きには気づかなかった樹木の質感や、湿地に残る野生動物の気配を再発見することができました。
再び「里山の家」に戻り、少しの間、館内で休憩をさせてもらいました。こうした拠点があることで、冬の散策も安心して楽しむことができます。休憩を終えた後は、再び歩き出し、最終目的地である東山動植物園へと向かいました。
初訪問を終えて:再訪を誓う
長年気になっていながら、なかなか訪れることのできなかった「平和公園くらしの森」。
今回の初訪問で強く感じたのは、そこが単なる公園の一部ではなく、「都市と自然の境界線に位置する、生きた学びの場」であるということです。冬の静けさの中に、かつての暮らしの面影と、現在の保全の努力が共存している様子を肌で感じることができました。
今回は冬の景色を楽しみましたが、季節が変われば、湿地の植物や畑の様子も劇的に変化することでしょう。春の新緑、夏の力強い緑、秋の彩り――。また異なる時期にこの場所を訪れ、新しい「里山の表情」に出会えることを楽しみにしています。
◆地図
〒464-0028 愛知県名古屋市千種区東明町7丁目25
























