栄ミナミ音楽祭 ’26:時を超えて響く中村耕一さんの歌声――魂が震えた最高のJAYWALKステージ!(名古屋市中区矢場公園 : 2026-05-10)

 

 

栄ミナミ音楽祭 ’26 大トリ 「中村耕一+杉田裕(JAYWALK)」

名古屋の街中が音楽に染まる「栄ミナミ音楽祭」。その最終日の大トリを飾るステージを観るために、私は夕暮れ時の矢場公園へと足を運びました。そこに待っていたのは、単なるライブ以上の、自分の歩んできた人生の記憶を鮮やかに呼び覚ますような、奇跡のひとときでした。

カセットテープから始まった、私の「J-WALK」

私にとって、今回ステージに立つ中村耕一さんは、言葉では言い表せないほど特別な存在です。子供の頃、まだ「J-WALK」という名称で親しまれていた彼らの音楽は、私の日常に欠かせない色彩でした。当時は田舎に住んでいたこともあり、「プロのライブに行く」という発想自体がどこか遠い世界の話のように感じられていました。そのため、近所のレコード店で手に入れたCDを、何度も何度も慎重にカセットテープに録音しては、そのテープが擦り切れるほど聴き返していたのを思い出します。

数あるアルバムの中でも、特にお気に入りだったのが、ライブ盤の『2HOURS & 7MINUTES Complete Featuring of Live at BUDOKAN』です。武道館という聖地の空気感がそのまま封じ込められたようなその演奏は、スピーカー越しでも圧倒的な迫力で迫ってきました。中でも中村耕一さんの歌声は、スタジオ録音のシングル以上に深みと味わいがあり、切なさと強さが同居したようなその響きに、子供心に「なんて魅力的な声なんだろう」と強く惹きつけられました。私の中で、彼は数少ない「本当に大好きな男性ボーカル」として、心の最も深い場所に刻まれていたのです。

大人になり、社会に出て自分でお金を稼げるようになってから、ようやく「本物の彼らに会いに行こう」と思い立ちました。今から約20年前、念願叶ってコンサートホールで体験したJAYWALKのライブは、期待を遥かに超える幸福感に満ちた時間でした。あの時の高揚感は、今でも鮮明に覚えています。

途絶えた時間と、届いた復活の知らせ

しかし、再びライブに行こうと心に決めていた矢先、ファンにとってはあまりに衝撃的な別れのニュースが飛び込んできました。中村さんのグループ脱退。その事実に深い喪失感を覚え、私の中の時計は一度止まってしまいました。私にとってのJAYWALKの核は、やはりあの唯一無二の歌声にありました。彼の声がないステージを観に行く気にはどうしてもなれず、それ以来、昨年までは過去のCDを静かに聴き返すだけの、長く静かな時間が続いていました。

そんな中、約1年前に届いたのが「中村耕一さんが復活し、再びJAYWALKのメンバーと共にステージに立っている」という驚きと喜びに満ちたニュースでした。かつてのあの震えるような感動が、再び味わえるかもしれない。その期待を胸に過ごしていたところ、ついに本日、栄ミナミ音楽祭への出演。万難を排して矢場公園へと向かったのは、自分の中の止まった時間を、もう一度動かしたいという切実な願いもあったのかもしれません。

矢場公園に響き渡る「君にいて欲しい」

会場となった矢場公園は、立錐の余地もないほどのお客さんで溢れかえり、誰もがその瞬間を待ちわびていました。用事のため昼間のステージには間に合いませんでしたが、祭りのフィナーレを飾る大トリとして、中村耕一さんと杉田裕さんが二人でステージに登場した瞬間、会場の熱量は最高潮に達しました。

一曲目に披露されたのは、私が彼らの膨大な楽曲の中で最も愛してやまない「君にいて欲しい」でした。

イントロのメロディが流れた瞬間、全身に鳥肌が立ちました。中村さんの年齢は、確か今年で74歳になられるはずです。しかし、マイクを通して響いてきたのは、あの頃と変わらない、いや、長い年月を経てさらに深みと凄みを増し、聴く者の魂を直接揺さぶるような圧倒的な歌声でした。なぜ、これほどまでに感情を剥き出しにした、それでいて包容力のある歌が歌えるのか。込み上げてくる感情を抑えきれず、気がつけば目には涙が滲んでいました。

続いて披露された「JUST BECAUSE」「何も言えなくて…夏」「夜間飛行 (NIGHT FLIGHT)」「心の鐘を叩いてくれ」という名曲たちの数々。一曲ごとに、当時の思い出や、聴けなかった空白の時間がひとつひとつ埋まっていくような感覚に包まれ、ただただ感激し、その一音一音を噛み締めていました。

音楽が呼び覚ます、新たな情熱

ステージでは往年のヒット曲だけでなく、カバー曲の披露や、ゲストの「バンバンバザール」のお二人との豪華なコラボレーションもありました。特に全員で演奏された「スタンド・バイ・ミー」などのセッションは、音楽を奏でる喜びがステージ全体から溢れ出し、公園全体が一つになったような多幸感がありました。

実は、自分自身が音楽活動から長く離れて以来、私生活でもほとんど音楽を聴かないような静かな毎日を過ごしていました。しかし、今日の中村さんと杉田さんのパフォーマンス、そして会場を包む熱気を肌で感じたことで、自分でも驚くような心境の変化が訪れました。

「ああ、やっぱり音楽のパワーは素晴らしいな。自分もまた、何か楽器を手に取り、演奏してみたい」

そんな前向きな情熱が、心の奥底から自然と湧き上がってきたのです。止まっていたのはアーティストの活動だけでなく、私の音楽に対する情熱も同じだったのかもしれません。

今日、この場所に来られて本当に良かったです。中村耕一さん、杉田裕さん、そしてJAYWALKの皆さんが届けてくれた音は、私に大きな活力と、忘れかけていた情熱を取り戻させてくれました。

70代になってもなお、これほどまでに人々を感動させ、誰かの背中を力強く押すことができる。その生き様と歌声に、心からの敬意を表します。これからも、その素晴らしい歌声と演奏で、多くの人に元気を届けてほしいと願っています。私も今日いただいた刺激を糧に、また自分の人生というステージで、新たな音を奏でていこうと思います。最高の時間をありがとうございました。

 


地図:矢場公園

データ

  • 所在地:〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄3丁目2601

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