柿安総本山の極上牛串と蟠龍櫓から望む水郷。七里の渡跡で東海道の歴史ロマンに浸る旅 (三重県桑名市の旅 : 2026-04-05)
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柿安吉之丸本店・七里の渡跡(三重県桑名市)
前回のブログ記事では、九華公園での華やかなさくらまつりを巡り、北口に堂々と立つ本多忠勝公の銅像にご挨拶したところまでをお届けしました。今回はその旅の続きとなる、桑名散策の締めくくりにふさわしい、美味しい食の歴史と東海道屈指の歴史スポットをめぐる完結編です。
訪問した2026年4月5日は、春の穏やかな空気に包まれ、どこを歩いても歴史の息吹が感じられる素晴らしい一日となりました。九華公園を後にした私が最初に向かったのは、桑名が全国に誇る老舗の味わいに出会える場所でした。
桑名の食文化を牽引する総本山「柿安 吉之丸本店」へ
桑名といえば、幼い頃に両親に食べさせてもらった「はまぐり」が思い出深い味ですが、それに並んで有名なのが、お肉の老舗である「柿安」です。
地元ではない私ですが、子供の頃に両親に連れられて桑名へ来たときは、決まって立ち寄っていた思い出深い馴染みのお店でもあります。大人になった今でも、桑名を訪れると自然とその看板を探してしまうほど、私にとっては特別な存在です。
柿安の創業は明治4年(1871年)。もともとは一軒の牛鍋店として始まり、150年以上の長きにわたって桑名の豊かな食文化を支え続けてきました。現在では全国の百貨店や商業施設で精肉や惣菜、しぐれ煮などを幅広く展開する大企業へと成長していますが、そのすべての原点はここ桑名にあります。
現在、美しい佇まいを見せている「吉之丸本店」は、2024年4月に全面リニューアルされたばかりの旗艦店です。店名にある「吉之丸」は、この本社がある所在地である桑名市吉之丸という歴史ある地名に由来しています。店内は精肉だけでなく、惣菜ブランドや和菓子ブランドも一堂に集結しており、まさに「柿安の総本山」と呼ぶにふさわしい圧倒的な品揃えと風格を備えていました。
本店前で出会った極上の味「牛串」に舌鼓
店内には実に見事なお肉や、彩り豊かなお弁当などがたくさん売られており、見ているだけでもお腹が空いてくるほどでしたが、今回私がいただいたのは、店先で販売されていた「牛串」です。
この日はちょうど九華公園のさくらまつりということもあり、本店前で特別に牛串が炭火で香ばしく売られていたのです。これを見逃す手はありません。
柿安は松阪牛をはじめとする高級和牛の取り扱いに非常に長い歴史を持ち、自社ブランド牛である「三重 柿安牛」なども展開しています。そんな名門精肉店が直接、目の前で焼き上げて販売する牛串ですから、肉質の良さがそのままダイレクトに味へと反映されています。一口含んだ瞬間に、お肉のあまりのやわらかさに驚かされました。
噛み締めるたびに、溢れる脂の濃厚な甘みが口いっぱいに広がり、炭火の香りをまとった特製のタレも、食欲をそそる少し濃いめの絶妙な味付けで、たいへんおいしかったです。まさに老舗の本気を気軽に味わえる、贅沢な食べ歩きのひとときとなりました。
川沿いの風が心地よい「柿安コミュニティパーク」と「三之丸公園」
極上の牛串でお腹を満たした後は、心地よい余韻に浸りながら周辺の公園エリアへと散策の歩みを進めました。まずは「柿安コミュニティパーク」です。
ここには前回ご紹介した本多忠勝公の銅像だけでなく、美しく手入れされた広い芝生エリアが広がっています。公園名に親しみのある企業の名前が付いていますが、これはネーミングライツ(命名権)によるものです。この開放的な芝生エリアからは、すぐ目の前を流れる雄大な揖斐川を眺めることができ、ただ腰を下ろして一息ついているだけで、川面を渡る風が心地よく吹き抜けていき、歩き疲れた体がじんわりと癒やされていくのを感じました。
続いて、隣接する「三之丸公園」へと移動します。こちらも瑞々しい緑の芝生エリアが広がっており、頭上を見上げると、たくさんの桜の花が綺麗に咲き誇っていました。先ほどの九華公園の賑やかさとはまた少し異なり、地元の生活に溶け込んだ穏やかなお花見の風景が広がっており、大人の散策にはぴったりの落ち着いた空間です。
浮世絵の世界が蘇る「桑名城 蟠龍櫓」からの展望
三之丸公園のすぐそばまで来ると、お堀の脇に一際目を引く美しい白壁の建物が現れます。それが「桑名城 蟠龍櫓(ばんりゅうやぐら)」です。
現在の建物は2003年に建設されたもので、実際には国土交通省の水門統合管理所という現代のインフラ施設なのですが、その外観は江戸時代の蟠龍櫓の姿を忠実に再現して建てられています。かつての蟠龍櫓は、東海道の要所である七里の渡に面して建っており、当時に東海道を行き交った旅人や船乗りたちが必ず目にした、いわば桑名の街の偉大なシンボルでした。
この櫓は、かの有名な浮世絵師・歌川広重の傑作「東海道五十三次・桑名」にも美しく描かれており、当時は「海上の名城・桑名城」と称えられたその姿を象徴する重要な存在だったそうです。
この蟠龍櫓は、内部が一般に見学できるようになっているのも大きな魅力です。私も早速中へと入り、2階にある展望室へと足を運びました。窓の外に目を向けると、木曽三川(木曽川・長良川・揖斐川)の広大な河口付近や、ゆったりと流れる揖斐川の美しいパノラマを一望することができました。遮るもののない水辺の絶景を眺めていると、かつてこの桑名が、水運の拠点としてどれほど激しく行き交う船で栄えた町であったのかを、改めて肌で実感することができました。
東海道の歴史が今に息づく「七里の渡跡」
蟠龍櫓を後にし、揖斐川沿いを西に向かってのんびりと進み、この日の散策の最後に訪れたのは「七里の渡跡(しちりのわたしあと)」です。ここは東海道屈指の歴史スポットとして知られています。
江戸時代、東海道を旅する中で、唯一の海路区間(船で渡る区間)となっていたのが、宮宿(現在の名古屋市熱田区)からここ桑名宿までの海上ルートでした。その船旅の距離がおよそ七里(約28キロメートル)あったことから、親しみを込めて「七里の渡」と呼ばれるようになったそうです。
現在では、往時の船着場跡の風情を残す石畳や、立派な鳥居が綺麗に整備されています。
目の前に滔々と流れる揖斐川の水面を静かに眺めながら、「江戸時代の旅人たちも、長い船旅を終えて、今私が立っているこの場所から、同じようにこの広い水景色を見上げていたのだろうか」と深く想像を巡らせました。そう考えると、教科書の中の歴史だった東海道の旅が、急に手の届くほど身近なものに感じられ、胸の奥がじんわりと熱くなるような深い感銘を覚えました。
結び:懐かしさと歴史の深さに出会えた桑名の旅
半年ぶりとなった今回の桑名散策は、駅前の少しレトロな景色から始まり、思い出のはまぐりの記憶、桑名宗社の厳かな二つの本殿、九華公園の華やかなさくらまつり、そして柿安の極上の牛串から七里の渡跡の歴史ロマンへと至る、実に中身の濃い充実した歩みとなりました。
子供の頃にはただ「美味しいものを食べる街」「広い公園がある場所」という印象だった桑名ですが、大人になってこうして一歩ずつ歩みを進めてみると、すべての場所に深い歴史と、それを受け継いできた人々の文化がしっかりと息づいていることを教えられます。
心地よい川風に吹かれながら、歴史の重みと人の温もりに触れたこの一日は、私にとって忘れられない素晴らしい春の思い出となりました。桑名は何度訪れても、そのたびに新しい表情で歩き手を迎えてくれる、本当に魅力的な街です。また季節を変えて、この美しい城下町を歩いてみたいと思います。
住所 / 地図
柿安吉之丸本店(旧:柿安精肉本店,柿安デリカパーク)
〒511-0032 三重県桑名市吉之丸8




























