名鉄広見線の新可児駅から御嵩駅を目指し、歴史豊かな沿線のスポットを巡ってきたぶらり旅も、いよいよ最終回を迎えました。
2026年7月18日、御嵩駅周辺での散策を終えた後は、名鉄広見線に乗り込み、御嵩駅から2駅手前にある顔戸(ごうど)駅へ移動しました。今回は旅の締めくくりとして、顔戸駅から歩いて訪れた「道の駅 可児ッテ」でのひとときと、この素晴らしい沿線旅の総括をお届けします。
ローカル線の情景が残る無人駅「顔戸駅」から長閑な田園風景へ
顔戸駅は、岐阜県可児市に位置する名鉄広見線の駅です。
駅員が常駐しない無人駅であり、ホームには雨風をしのぐシンプルな待合スペースが配置されています。大きな駅舎や大掛かりな設備こそありませんが、周囲には静かな住宅地やのどかな田畑が広がり、地域の人々の日常生活に溶け込んだローカル線ならではの素朴で温かい佇まいを見せています。
私自身、顔戸駅に降り立つのは今回が初めてのことでした。
改札を出て、まずは整然とした静かな住宅街を進んでいきます。やがて名鉄広見線の線路を南側へ越えると、視界が急に開け、青々とした田畑が一面に広がる風光明媚な景色へと変化していきました。
途中、線路の向こうから名鉄広見線の電車がゆっくりと走り抜けていく姿が見えたため、思わず足を止めてその走りを見送りました。広大な田畑とローカル電車のコントラストには、どこか郷愁を誘う豊かな味わいがあります。
しかし、この区間は2029年4月1日をもって廃線となることが決定しています。今こうして当たり前のように眺めている美しい風景も、あと数年で見られなくなってしまうのかと思うと、胸の奥に深い寂しさが押し寄せてきます。
賑わいあふれる地域の拠点「道の駅 可児ッテ」へ到着
線路沿いの風景を目に焼き付けながらさらに歩みを進めると、今回の最終目的地である「道の駅 可児ッテ」が見えてきました。
「道の駅 可児ッテ」は、岐阜県可児市の特産品や魅力がぎゅっと詰まった人気のスポットです。東海環状自動車道の可児御嵩インターチェンジから目と先にある抜群の立地ということもあり、ドライブの休憩や観光の途中で立ち寄る人々で賑わっています。
施設内には、可児市や岐阜県内で収穫された新鮮な農産物をはじめ、地元の加工品、銘菓、地域限定のお土産などが豊富にラインナップされています。旬の野菜や果物が鮮やかに並ぶ直売コーナーは、地域の食文化や暮らしを肌で感じられる場所であり、旅先でその土地の美味しい品を手に入れたい人にとっては外せない立ち寄りどころです。
また、館内には岐阜の郷土の味覚覚を楽しめる「可児ッテ食堂」も併設されており、買い物だけでなくお食事処としても親しまれています。
広大な敷地を誇る超大型施設というわけではありませんが、交通の要所にある利便性もあって、訪れた日も館内は大勢の人で活気に満ち溢れていました。
可児ッテ食堂で味わう絶品郷土料理「鶏ちゃん鉄板定食」
顔戸駅から歩き続けて到着した頃には、長時間の散策による疲労もかなりピークに達していました。
せっかくなので何かお土産を買っていこうと売店を覗いたのですが、レジの前には長い行列ができていました。今回は旅の終盤で帰りの時間にもあまり余裕がなかったため、買い物は泣く泣く見送り、代わりに少し遅めの昼食をいただくことにしました。
向かったのは、館内の「可児ッテ食堂」です。
今回注文したのは、食堂で一番人気を誇るという「鶏ちゃん鉄板定食」(980円)です。
「鶏ちゃん(けいちゃん)」は、味噌や醤油ベースの特製タレで味付けした鶏肉を、キャベツなどの野菜と一緒に鉄板で香ばしく炒めて味わう岐阜県の代表的な郷土料理です。岐阜県民のソウルフードともいえる逸品で、私自身も大好きなメニューのひとつです。
運ばれてきたアツアツの鉄板からは、香ばしい味噌の香りが一気に立ち上り、一瞬で食欲が刺激されます。
長時間歩き続けてすっかり空腹だった身体に、ジューシーな鶏肉とシャキシャキしたキャベツの旨味が染み渡ります。甘辛くコクのある味噌ダレが素材によく絡み、噛みしめるたびに豊かな味わいが口いっぱいに広がり、ご飯を運ぶ箸がまったく止まりません。
最近は自炊を中心とした食生活を送っていたこともあり、このように鉄板で香ばしく炒められた油とコクのある料理をいただくと、身体の底からエネルギーが力強く湧き上がってくるような感覚を覚えました。疲労と空腹も手伝って、いつも以上に極上の美味しさに感じられました。
ボリューム満点の定食をしっかり完食する頃には、歩き疲れていた身体もすっかり軽くなり、元気を取り戻すことができました。旅の最後に大好物の鶏ちゃんを存分に堪能でき、今回の沿線旅を最高の形で締めくくることができました。
歴史と鉄道の面影を巡った可児・御嵩ぶらり旅を振り返って
顔戸駅から「道の駅 可児ッテ」を訪れ、絶品の鶏ちゃんを味わったことで、今回の可児市・御嵩町を巡る旅はすべて終了となりました。
今回の旅では、名鉄広見線の歴史ある駅舎をはじめ、中山道御嶽宿の古い町並み、歴史を感じる商家竹屋、そして京都・龍安寺の石庭の原型とされる愚渓寺の臥龍石庭など、素晴らしい歴史と文化に触れることができ、非常に濃密で充実した一日を過ごすことができました。
一方で、可児市や御嵩町には、明智光秀ゆかりの明智城址や、森蘭丸の生誕地として知られる美濃金山城址など、歴史好きとしては見逃せない魅力的なスポットがまだまだ数多く残されています。
次回は、もう少し涼しく過ごしやすい絶好の天候の時期を選んで、今回訪れることができなかった歴史遺構や名所をじっくりと歩いてみたいと思います。名鉄広見線の残された日々を惜しみつつ巡る可児・御嵩の旅シリーズをお読みいただき、本当にありがとうございました。