日本モンキーセンター探訪記【前編】〜歴史ある霊長類の楽園へ!休園を前に訪ねた記録〜(愛知県犬山市の旅 : 2026-05-02)

 

 

日本モンキーセンター(愛知県犬山市)

旅行日:2026年5月2日(土)

ずっと心に留めながらも、なかなか足を運ぶ機会がなかった場所に、ついに赴く時が来ました。今回の目的地は、愛知県犬山市にある「日本モンキーセンター」です。実は、この歴史ある施設が施設の大規模リニューアルのため、2026年10月19日(月)から当面の間、全園休園になるというニュースを耳にしました。1962年の開園以来、多くの人々に愛されてきたものの、築60年以上が経過したことで雨漏りや舗装の劣化が進み、さらに動物福祉の観点からも時代に即した大規模な改修が必要になったとのことです。

私は元々、愛知県が地元ではなかったこともあり、これまで日本モンキーセンターに訪れたことがありませんでした。「いつか訪れよう、いつか見に行こう」と思いながら年月が過ぎてしまっていましたが、今年で長期の休園に入ってしまうという報せに背中を押されるようにして、新緑の美しいゴールデンウィークの真っ只中、訪問を決意しました。2回に分けてお届けするこの探訪ブログ。前編となる今回は、駅から現地までの道のりと、園内の北側エリアを中心とした様子を詳しく記録していきます。

■ 犬山駅から徒歩で目指す、のどかな道のり

日本モンキーセンターの所在地を調べてみると、周囲は緑豊かな山間に位置しているため、当初は自家用車や路線バスを利用しなければアクセスが難しい場所なのだろうと思い込んでいました。しかし、出発前にスマートフォンの地図アプリで検索してみると、名鉄の犬山駅から徒歩で20分程度しか離れていないことが判明したのです。歩くのにはちょうど良い距離であり、日頃の運動不足を解消するのにも最適だと考え、今回は犬山駅から歩いて向かうことにしました。

実際に歩いてみると、犬山駅から日本モンキーセンターまでの道のりは、驚くほどシンプルで分かりやすいものでした。まず、犬山の駅東口を出て、目の前を通る県道を真っ直ぐ東へと進みます。しばらく歩くと、ドラッグストアのスギドラッグが見えてくる「梅坪跨線橋北」の交差次に突き当たりますので、ここを左折します。あとは、そのままずっと道なりに約1kmほど進んでいくだけです。道の右側に日本モンキーセンターが見え、道路を挟んだ左側には遊園地である日本モンキーパークが広がっています。

目的地の手前1km付近にいたるまでは、道路にしっかりと整備された歩道が設けられているため、車通りを気にすることなく、危険を感じずに安心して歩き進めることができました。新緑の木々を眺めながらのんびりと歩を進めているうちに、あっという間に目的地の入場ゲートへと無事に到着することができました。

■ 昭和の空気感と、ゆったりと流れる時間

訪れたのはゴールデンウィークの真っ只中ということもあり、周辺の駐車場は多くの観光客の車で非常に混み合っていました。周囲の賑わいに圧倒されそうになりましたが、いざ蓋を開けてみると、来場者の大半のお目当ては、隣接する華やかな遊園地「日本モンキーパーク」のようでした。そのため、私が目指す「日本モンキーセンター」のゲートをくぐってみると、混雑とは無縁の、非常に穏やかでまったりとした空間が広がっていました。人混みに揉まれることなく、自分のペースで落ち着いて園内を見学できる環境に、どこかホッとしたのを覚えています。

施設の老朽化に伴って今年から長期休園に入るという前情報の通り、園内を見渡してみると、現在は使われていない施設や、歳月の長さを物語る錆びついた鉄柵などが確かに各所で目につきました。しかし、それは決して不快なものではなく、むしろ1962年の開園から積み重ねられてきた長い歴史と、なんとも言えないノスタルジックな昭和の空気感を色濃く醸し出していました。モダンで洗練された最新の施設も素晴らしいですが、この場所に漂う独特の風情と落ち着いた雰囲気は、私にとって非常に居心地がよく、不思議な愛着を覚えさせてくれるものでした。

■ 世界有数の「霊長類専門の博物館」としての顔

園内を巡る前に改めて知ったのですが、この日本モンキーセンターは、世界でも極めて珍しい霊長類専門の動物園です。たんなる娯楽としての「動物園」という枠にとどまらず、サル類を深く研究し、その生態を広く伝えるための教育的な「博物館」としての重要な役割を兼ね備えています。そのため、展示の方法や解説の切り口も、一般的な動物園とは一味違った専門的な視点が含まれており、大人の知的好奇心を大いに刺激してくれます。

現在、園内では約50種・700頭もの世界中から集まったサルの仲間たちが飼育されており、その霊長類の飼育展示種数は、なんと世界最多クラスを誇るそうです。そんな奥深い楽園の、まずは入場ゲートから入ってすぐの「北側エリア」から散策をスタートしました。このエリアで私が特に心を動かされた、4つの魅力的なスポットをご紹介します。

■ 北側エリアで出会った、4つの注目スポット

1. モンキースクランブル「ビックループ&エコドーム」 〜頭上を駆ける躍動と歌声〜 北側エリアを進んでいくと、まず目に飛び込んでくるのが、モンキースクランブルの中心的な施設である「ビックループ&エコドーム」です。これは2006年にオープンした施設で、地上約15mという遥か高くまで白い巨大なループ状の構造物が伸びています。ここでは、フクロテナガザルたちがその非常に長い腕を器用に使い、まるで空中を飛ぶかのように高速で移動していく姿をダイナミックに観察することができます。頭上の遥か高さを、驚くべきスピードで渡っていく姿は一瞬で目を奪われます。

そして何より感動したのが、フクロテナガザルの独特で美しい歌声を、間近でじっくりと聴くことができた点です。以前、名古屋市の東山動植物園でもその独特な鳴き声が大きな話題となっていましたが、ここモンキーセンターでもその素晴らしい声を存分に堪能できました。驚いたことに、このスポットを離れて他のエリアを散策している間も、彼らの透き通った歌声は園内全体の隅々にまで心地よく響き渡っており、どこを歩いていても楽しませてくれる環境音楽のようになっていました。遮る柵がない開放的な造りになっているため、テナガザルたちの自然な行動をより身近に、遮るものなく感じられるのが本当に素晴らしかったです。フクロテナガザルの見事な歌声とそのダイナミックな姿を写真に収めたいと考えている方には、絶対に外せない一押しのスポットです。

2. モンキースクランブル「リスザルの島」 〜自然の中に溶け込む小さな命〜 次に向かったのは、同じくモンキースクランブル内にある「リスザルの島」です。ここは、周囲をぐるりと水に囲まれた独立した空間になっており、内部にはリスザルたちが本来暮らしている豊かな森林地帯が見事に再現されています。そして驚くべきことに、その再現された森の中で、小さなリスザルたちが完全に放し飼いにされているのです。

私はこれまで、東海地方にある主要な動物園、たとえば東山動植物園や豊橋市ののんほいパークなど、様々な場所に足を運んできました。しかし、ここまで人工的な境界線を感じさせず、自然環境そのものを動物と共有し、リスザルの息遣いをすぐ近くに感じられるような展示エリアには出会ったことがありませんでした。この大胆な試みには本当に驚かされました。青々と茂る木々の枝から枝へと、小さな体を弾ませて身軽に移動していくリスザルたちを自分自身の目で見つけ出し、驚かせないように静かに見守る時間は、他ではなかなか味わうことのできない貴重な経験であり、大きな満足感に包まれました。

3. 「モンキーバレイ」 〜広大な斜面に広がるサルの社会〜 続いて足を運んだのは、すり鉢状の広大な地形を活かした「モンキーバレイ」です。ここには、約4,000平方メートルにも及ぶ広々とした傾斜地が広がっており、その中で暮らす約140頭ものヤクシマザル(ヤクニホンザル)の大きな群れを、上部に設置された高い観察台から一望することができます。解説によると、ヤクシマザルは世界自然遺産にも指定されている九州の屋久島にのみ生息しているニホンザルの亜種なのだそうです。

観察台の上から眼下を見下ろすと、毛づくろいの手を休めないサル、元気に斜面を駆け回る子ザル、のんびりと日向ぼっこを楽しむ大人のサルなど、それぞれの個体が形作るリアルな日常の社会をこっそりと覗き見ているかのような感覚に陥ります。サルの細やかな行動を観察する面白さはもちろんのこと、視界の先には広大で緑豊かな丘陵地帯の美しい景色がダイナミックに広がっており、どこか遠くの深い山奥へと旅にやってきたかのような、豊かな旅行気分を同時に味わうことができる素敵な施設でした。

4. 「ヒヒの城」 〜360度から見渡す、圧倒的な群れの躍動〜 北側エリアで最後に圧倒されたのが、「ヒヒの城」と呼ばれる大型の飼育展示施設です。この施設は、壁面に設けられた大きなガラス窓から間近に中を覗き見ることができるほか、上部に設置された広々とした観覧デッキに登ることで、立体的にサルたちの動きを観察できるよう工夫されています。ここには約70頭ものアヌビスヒヒたちがひとつの大きな群れを形成して生活しており、その力強い暮らしぶりを横からだけでなく、上部から、しかも360度どの角度からでも自由に観察することができる構造になっています。

これほど多くのヒヒたちが一堂に会しているため、視線をどこに向けても常に新しい発見があります。群れの中での力関係が見える瞬間や、親子の微笑ましいやり取りなど、一頭一頭が異なる実に様々な表情や行動を見せてくれるため、観察していて全く飽きることがありません。気がつけば、時間を忘れてその場に長時間立ち尽くし、彼らのダイナミックな営みに釘付けになってしまっていました。

■ ビジターセンターでの深い学びと、前編の締めくくり

北側エリアの展示をじっくりと堪能した後、エリア内にある「ビジターセンター」へ立ち寄りました。するとタイミングが良いことに、ちょうど飼育員の方による専門的なセミナーが開催されるところだったため、急遽参加させていただくことにしました。このセミナーが期待以上に素晴らしい内容でした。サルの進化や歴史といった学術的な背景を含め、かなり専門性の高いテーマが扱われていたのですが、飼育員の方が日々の観察エピソードを交えながら、非常に分かりやすく丁寧に紐解いて説明してくださいました。ただ可愛い、面白いという視点だけでなく、霊長類という存在を博物館として学問的に捉えることの深さを知り、知的な充足感で満たされる素晴らしいひとときとなりました。

駅から歩いて到着し、入場ゲートから北側エリアを巡り、セミナーに参加した時点で、すでに胸がいっぱいになるほどの大きな満足感を味わっていました。しかし、これほど内容が濃いにもかかわらず、驚くべきことに、まだ日本モンキーセンター全体の半分ほどを巡ったに過ぎません。この場所が持つ魅力の深さと、歴史の重みを改めて実感させられます。この後、私はさらに多様なサルの世界が待つ、園内の「南側エリア」へと足を進めていくことになります。南側エリアに広がる魅力的な世界(Waoランド、南米館、アフリカ館など)については、次回の後編のブログにて、さらに詳しくお伝えしたいと思います。どうぞお楽しみに。

(次回、南側エリアの後編へ続く)

 


地図:日本モンキーセンター

データ

  • 所在地:〒484-0081 愛知県犬山市犬山官林26

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