【名古屋市北区(前編)・普光寺】黄金に輝く北大仏と禅の教えに出会う散策旅 (名古屋市北区の旅 : 2026-05-17)

 

 

普光寺・北大仏 (名古屋市北区)

2026年5月17日、この日は名古屋市北区を散策する旅に出かけました。名古屋市北区は、かつて近くに住んでいたこともあり、非常に思い出深いエリアです。懐かしい街並みを歩きながら、当時の思い出に浸ると同時に、これまでまだ訪れたことがなかった「北大仏」や新しく誕生した「IGアリーナ」を巡ることを楽しみにやってきました。

旅のスタートは名鉄瀬戸線・尼ヶ坂駅から

旅のスタート地点は、名鉄瀬戸線の尼ヶ坂駅です。

駅の南側には尼ヶ坂公園が広がっています。この駅名や公園名についている「尼ヶ坂」という名称は、駅の南側にある実際の坂の名称が由来となっています。

片山神社を挟んで、西側にある比較的なだらかな坂を「尼ヶ坂」、東側にある急な坂を「坊ヶ坂」と呼んできました。この周辺は昔から非常に険しい坂道として知られており、過去にはテレビ番組で取り上げられたこともありました。

また、駅の高架下には商業施設「サクマチ商店街」が広がっています。訪れた時間がまだ早かったためお店は開いていませんでしたが、パン屋、スイーツショップ、カフェ、惣菜店、飲食店、美容関連の店舗など、ちょっとおしゃれなお店が高架下に連続して並んでいます。歩いているだけでもワクワクする楽しい雰囲気があり、散策の立ち寄りスポットとして非常におすすめです。

尼ヶ坂駅から北へ100mほど進むと、まずは一願山不動院に到着します。尼ヶ坂の周辺は寺院やお寺が非常に多い地域なので、歩を進めるたびに新しい発見があり、散策していてもまったく飽きることがありません。

黄金に輝く北大仏が鎮座する普光寺へ

一願山不動院からさらに北へ1本進むと、今回の大きな目的地の1つである普光寺(ふこうじ)に到着しました。なぜ私がこのお寺を訪れてみたかったかというと、ここには高さ7.235mという圧倒的な大きさを誇る大仏様が安置されているからです。

寺院の入り口にあたる鐘楼門はあいにく改修工事中だったため工事用カバーに覆われていましたが、寺院の入口を守る赤く彩色された守護神である仁王像(阿形・吽形)がしっかりと迫力ある姿を見せてくれていました。

山門をくぐり境内の中に入ると、ついに目当ての黄金色に輝く大きな釈迦如来像、通称「北大仏」と対面することができました。

こちらの北大仏は、奈良や鎌倉の大仏のように古い歴史を持つ仏像ではありません。平成15年(2003年)に建立された比較的新しい大仏で、全身が煌びやかな黄金色に輝いており、頭部の螺髪(らほつ)だけが深い緑色に彩られているのが大きな特徴です。

この北大仏の正体は釈迦如来であり、仏教を開いたお釈迦さまそのものです。普光寺では、人々を苦悩から救い出し、正しい道へと導いてくださる仏として大切に祀られています。大仏の前には、6本の腕を持つ如意輪観音や、十二支にちなむ十二支地蔵もずらりと並んでおり、それぞれの願いを託しながら参拝することができます。

戦国時代の天正5年(1577年)創建という長い歴史を誇る曹洞宗の寺院に、平成生まれのモダンで黄金に輝く大仏が鎮座しているという光景。古い歴史と現代の信仰が見事に同居しており、尼ヶ坂周辺のスポットの中でもひときわ強い印象を残してくれます。

禅の教えを伝える道元禅師の石像

普光寺の境内には、少し変わった意匠の石像が建てられています。それが、若き日の道元禅師と天童山の老典座が向き合っている「椎茸天日干し」の像です。この石像は、道元が宋(現在の中国)へ渡り、天童山で修行を積んでいた際の有名な出来事を表現しています。

ある非常に暑い夏の日、道元は仏殿の前で、年老いた典座(てんぞ)が汗を流しながら椎茸を日に干している姿を目にしました。典座とは、禅寺において僧侶たちの毎日の食事をつかさどる重要な役職のことです。道元は老典座に「なぜ若い修行僧や人を使わず、ご自身でされるのですか」と尋ねました。すると老典座は「他は是れ吾に非ず(他の人では私の代わりにならない)」と答えたのです。さらに道元が「こんな暑い日に、なぜ今するのですか」と重ねて問うと、「さらに何れの時をか待たん(今やらなければ、いつやるというのか)」と返したと伝えられています。

この問答は、道元が著した『典座教訓』に詳しく記されており、食事を作るという一見すると地味な日常作業も、決して仏道修行から離れたものではないという禅の根本的な考え方を象徴しています。石像の後ろには「中国天童寺全影図」の石碑が置かれており、この物語の舞台となった天童寺(天童山)の全体像が刻まれています。

煩悩を喰らう伝統の「龍珠」を繰る

本殿の近くには、「龍珠」と呼ばれる大きな数珠が設置されています。これは、百万遍の念仏に使われてきた、約100年以上の歴史を持つ非常に貴重な数珠です。長い年月の中で数多くの人々によってお経が唱えられてきたことから、とてもご利益のある数珠として大切に受け継がれています。

この龍珠の大きな特徴は、龍の口から数珠を繰り出すような特別な構造になっている点です。数珠を1回繰ることで、龍が人間の持つ108の煩悩を喰らってくださると伝えられています。

案内の立て札には「心静かにご真言を唱えながら一回数珠を繰ってください」と書かれており、ご真言として阿弥陀如来の「オン アミリタ テイセイ カラウン」が紹介されていました。私も龍珠の前でそっと心を落ち着かせ、静かに合掌してから、数珠を1回、ゆっくりと心を込めて繰りました。

道元禅師と老典座の「椎茸天日干し」の像が深い禅の教えを静かに伝える一方で、この龍珠は長い年月をかけて人々の切実な祈りを受け止めてきた場所です。境内をじっくり歩いていると、こうした信仰の形が今も暮らしの身近な場所に息づいていることに気づかされます。実際に自分の手で龍珠を繰ったことで、普光寺での参拝体験がより一層思い出深いものとなりました。

参拝を終えた後は、さらに西の方向へと足を進めます。例大祭を直前に控えた八王子神社・春日神社で参拝を済ませ、ここから柳原方面、そして話題の新スポットであるIGアリーナへと向かいますが、その様子については次回のブログ(後編)で詳しくお届けします。どうぞお楽しみに!

地図・アクセス

〒462-0837 愛知県名古屋市北区大杉3丁目12−8

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