【上問屋資料館】奈良井宿の歴史と暮らしを体験!270年続いた手塚家住宅と箱階段から眺める宿場町(長野県塩尻市の旅 : 2026-07-25)

 

 

上問屋資料館(長野県塩尻市)

宿場町の交通を支えた重要文化財、手塚家住宅

奈良井宿の旅ブログ、第4回目となります。

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2026年7月25日、奈良井宿を歩いていると、町並みの中に大きな石碑が立つ一軒の建物が目に入ります。ここが「上問屋資料館(かみといやしりょうかん)」です。

現在公開されているのは、江戸時代から続いた旧手塚家住宅。手塚家は慶長7年(1602年)から明治維新まで、およそ270年にわたって奈良井宿の「問屋」を務めてきました。

ここでいう問屋とは、現代の商店を意味するものではありません。宿場町では、街道を行き交う人や荷物を次の宿場へ送り継ぐため、馬や人足を手配する役割が必要でした。奈良井宿では上下2軒の問屋が置かれ、手塚家はそのうちの「上問屋」として、人馬の継立など宿場の交通を支えていたのです。時代によっては庄屋も兼ねていたとされ、まさに奈良井宿の運営に深く関わっていた家でした。

現在の建物は天保11年(1840年)のものとされ、問屋としての機能だけでなく、格式ある接客空間も備えた、江戸時代末期の木曽地方における問屋建築の姿を今に伝えています。建物そのものが国の重要文化財に指定されているのも納得できます。

建物の前に立ってから中へ入ると、外の宿場町の賑わいとは少し違った、静かな時間が流れていました。

風情ある庭園と格式高き明治天皇行在所

館内は奥行きのある造りで、畳敷きの和室が続いています。主屋から廊下を進むと中庭があり、そこには木々が植えられています。この日は日差しが木々の間から差し込み、緑が明るく照らされていました。

さらに畳の部屋を抜けて外廊下へ出ると、その先には新緑に包まれた庭園が広がります。

街道に面した町家というと、どうしても表側の町並みに目が向きますが、建物の奥へ進むにつれて、宿場町の暮らしが別の表情を見せてくれます。街道沿いの商家として人の出入りが多かった場所でありながら、その奥には庭を眺めながら過ごす静かな空間がありました。

室内にも見どころは多く、和室の上部には美しい欄間(らんま)が施されています。細かな意匠が空間に品を添え、何気なく見上げたところにも、この家の歴史を感じさせるものが残されています。

掛け軸などの書画も随所に見られ、古い建物と調和するように飾られていました。上問屋資料館では、古文書をはじめ、陶器や漆器など400点余りの資料が展示されており、手塚家に伝えられてきたものを通して、宿場町で暮らした人々の生活や仕事を知ることができます。

そして、一番奥の部屋には「明治天皇奈良井行在所(あんざいしょ)」があります。

明治13年(1880年)、明治天皇が巡幸で奈良井を訪れた際、この手塚家が行在所となりました。そのときに使用された上段の間も現在まで保存されています。格式を感じさせる座敷に立つと、ここが単なる町家ではなく、宿場の中でも重要な役割を担っていた家だったことが、少し身近に感じられます。

実際に上れる「箱階段」と2階格子からの絶景

館内を順に見学していく中で、個人的にもっとも印象に残ったのが、2階へ上がる階段でした。

階段そのものが収納家具になっている「箱階段」です。

宿場町や古い町家を歩いていると、階段箪笥、あるいは箱階段と呼ばれるものを目にすることがあります。限られた住空間を有効に使うため、階段と収納を一体化させたものです。

これまでにも、こうした階段を「見る」機会はありました。

けれど、実際にその階段を1段ずつ上って2階へ行くという経験はありませんでした。

そのため、ここでは思わず足を止めてしまいました。

収納家具としての姿を眺めるだけでも面白いのですが、実際に上ってみると、昔の町家の暮らしがぐっと身近になります。木の階段を上りながら、「昔の人もここを行き来していたのだろうな」と想像する時間が、なんとも楽しいものでした。

そして2階から格子越しに宿場町を眺めると、また違った景色が広がります。

普段、街道を歩いているときには見上げることになる町家の格子を、今度はこちら側から眺める。格子の向こうに続く奈良井宿の町並みを見下ろしていると、歩いているときとはまったく違う視点で宿場町を見ることができます。

この光景には、本当に心が躍りました。「ここで泊まってみたい」とそんなことまで思ってしまうほどです。

古き良き暮らしの息吹に触れる贅沢なひととき

さらに館内には囲炉裏なども残されており、古い道具や建物の造りを眺めているだけでも、かつてここで営まれていた暮らしが少しずつ浮かんできます。

上問屋資料館の魅力は、貴重な古文書や道具を見ることだけではありません。

建物の中を歩き、庭を眺め、欄間を見上げ、古い掛け軸に目を留め、箱階段を上り、2階の格子越しに宿場町を見る。

そうやって建物そのものを体験できるところにあります。

270年もの長きにわたって奈良井宿の問屋を務めた手塚家。その歴史を知ってから館内を歩くと、何気なく見える廊下や座敷、庭までもが少し違って見えてきます。

奈良井宿には古い町家が数多く残されていますが、その中でも上問屋資料館は、宿場町の歴史と、そこで暮らした人々の生活の両方を感じられる場所でした。

今回訪れた奈良井宿の中でも、かなり心に残った場所です。歴史を感じられる建物が好きな自分にとっては、いつまでも眺めていたくなるような空間でした。

そして最後には、思わず「ここに住めたらいいのに」と思ってしまう。そんな魅力を持った資料館でした。

次回以降のブログでは、奈良井宿で実際に訪れたその他の資料館や宿場周辺のその他の寺院・神社についてご紹介していきます。どうぞお楽しみに!

住所 / 地図

〒399-6303 長野県塩尻市奈良井379

 

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