【東山荘】大正時代から続く歴史を感じる和風邸宅と緑豊かな庭園(名古屋市瑞穂区の旅:2026-09-06)
東山荘(名古屋市瑞穂区)
2026年9月6日、リニューアル工事中である名古屋市博物館のプレオープン見学へ訪れました。見学を終えた後、徒歩で八事方面へ向かって歩いていると、以前から気になっていた「東山荘(とうざんそう)」の案内が目に留まりました。せっかくの機会でしたので、急遽立ち寄ってみることにしました。
東山荘は、名古屋市瑞穂区の静かな住宅街にたたずむ、歴史ある和風建築と庭園です。大正時代に造られた建造物や趣深い庭園が今も大切に受け継がれており、都会の喧騒を忘れさせてくれるような落ち着いた空間として知られています。
■ 綿布商が築いた別荘と名古屋市民へ受け継がれた歴史
東山荘を建てたのは、当時綿布商として活躍していた伊東信一氏です。大正時代、山崎川沿いの緑豊かな土地に個人の別荘として建設され、茶道の趣向を取り入れた数寄屋風の建物や庭園が整えられました。
その後、1936年(昭和11年)に伊東信一氏が亡くなる際、東山荘は名古屋市へ寄付されることになりました。そこには「広く市民の憩いの場として公開してほしい」という温かい遺志が込められていたといいます。
1939年(昭和14年)から一般公開が始まりましたが、太平洋戦争の影響などにより一時期は公開が中断され、戦後は名古屋市長公舎として利用されていた時期もありました。そして1968年(昭和43年)に市民が利用できる施設として再び公開され、2013年(平成25年)には建物が国の登録有形文化財に指定されています。
個人の風雅な別荘として誕生した場所が、施主の思いとともに名古屋市民へ受け継がれてきた歴史を知ると、目の前に広がる庭園や建物の風景にも、いっそう深い味わいと愛着を感じます。
■ 緑の向こうに広がる古き良き建物と趣ある庭園
現在の東山荘では、建物内部の部屋は茶会や集会などの施設利用者向けとなっているため、今回は庭園の見学を中心に楽しむことにしました。
まず敷地の入口で目を引くのが、風情ある茅葺き屋根の正門です。竹を用いた繊細な垣根とともに、現代の住宅街とは一線を画す、昔ながらの静けさと品格を醸し出しています。
正門をくぐり、庭園へと足を進めると、木々の美しい緑の向こうに歴史を感じさせる木造建築が姿を見せます。自然の景観と建築美がみごとに調和した景色は大変美しく、立ち止まってしばらくじっくりと眺めていたくなるような趣がありました。
観光地の華やかな名所とは異なり、ここにはゆったりとした穏やかな時間が流れています。大正時代の豊かな別荘文化を今に伝える贅沢な空間を、心ゆくまで味わいたいところでした。
しかしながら、この日はまだ夏の厳しい暑さが残る9月上旬。青々とした庭園を歩いていると、藪から蚊が次々と寄ってきてしまい、のんびりと観賞に没頭できる状態ではありませんでした。風情ある景色に心を残しつつも、今回は早々に退散することとなりました。
■ 次回は季節を選び、デジタルカメラを携えて
今回は散歩の途中に急遽立ち寄ったこともあり、写真撮影には普段使っている古いスマートフォンを使用しました。そのため、庭園の緑と歴史ある建物が織りなす美しいロケーションを十分に写真へ収めることができなかった点が、少し心残りに感じられます。
東山荘は、単に古い歴史的建造物を見るだけでなく、建物を築いた人々の思いや、長い年月をかけて育まれてきた庭園の風情を肌で感じられる素晴らしい場所でした。
次回は蚊の少ない秋深まる季節や新緑の時期を選び、愛用のデジタルカメラを持参して再訪したいと思います。今度こそ時間をかけて静かな庭園を巡り、木々の間から見え隠れする木造建築の美しい佇まいを、丁寧に写真に収めてみたいものです。
地図
〒467-0028 愛知県名古屋市瑞穂区初日町2丁目3 名古屋市東山荘
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